2021年5月27日
2022年[1]のMission1でペイロードを月へ輸送し、データサービスを実施
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、カナダ宇宙庁(Canadian Space Agency、以下CSA)のLunar Exploration Accelerator Program(以下LEAP)の一環であるCapability Demonstration opportunityに貢献した企業として初めて選ばれた3社である、Mission Control Space Services Inc. (以下MCSS)、Canadensys Aerospace(以下Canadensys)、NGC Aerospace Ltd(以下NGC)から、ペイロード輸送サービスまたはデータサービスの受注を受けたことを発表致します。MCSS、Canadensys、NGCは、各社が実施するそれぞれのミッションで重要なサービスを実施するために、技術的な信頼性の高さを理由にispaceを選択しました。
MCSSとispaceは、ペイロード輸送サービス契約を締結しました。同契約に基づき、MCSSが開発する人工知能(AI)のフライトコンピュータがispaceのランダー(月着陸船)にペイロードとして搭載され、2022年[2]に予定されている民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション1で月面に輸送される予定です。
詳細はこちらをご覧ください。(https://ispace-inc.com/jpn/news/?p=1907)
Canadensysとispaceは、ペイロード輸送サービスを提供することを意図した覚書を締結しました。この覚書に基づき、Canadensysのカメラがispaceのランダー(月着陸船)にペイロードとして搭載され、「HAKUTO-R」のミッション1で月面に輸送され、ミッション中の重要な事柄を撮影することが予定されています。
NGCとispaceは、「HAKUTO-R」のミッション1において、NGCが開発するクレーターを利用した自律航行システムのデモンストレーションのために、ispaceがカメラを利用して月面画像データを取得するという覚書を締結しました。この覚書は、2020年8月にispaceが発表した“Blueprint Moon”というコンセプト名の月面データ事業に関する初めての取引の一つとなります。
ispaceは、Canadensysとはペイロード輸送サービス契約を、NGCとはデータサービス契約をそれぞれ締結する最終プロセスに入っています。
■ Mission Control Space Services Inc. President & CEO Ewan Reidのコメント
「ispaceは月に向かう商業的な競争においてリードする存在になっていると考えています。ispaceがこの最先端のミッションを遂行し、月面探査車を操作するための最新技術を実証してくれることを確信しています。」
■ Canadensys Aerospace CEO Christian Sallabargerのコメント
「ispaceの初の月着陸ミッションに協力できることを嬉しく思います。当社のカメラが、降下から着陸まで、ミッションの重要な瞬間を撮影することに加え、月着陸船からのいくつかのペイロードの展開を監視し、ispaceとその国際的および商業的ミッションパートナーのために、歴史的な瞬間を撮影できることを嬉しく思います。」
■ NGC Aerospace Ltd President Jean de Lafontaineのコメント
「ispaceがNGCのために取得する画像は、当社のクレーターを利用したナビゲーションソフトウェアの検証を可能にします。このソフトウェアは、月のクレーターをナビゲーションの基準として、軌道上や月着陸船の位置を高精度で自律的に決定できるGPSのような技術です。今回のispaceとのコラボレーションは、NGCの惑星探査に向けた戦略的開発の大きな一歩となるでしょう。」
■ 株式会社ispace Founder & CEO 袴田武史のコメント
「CSAに選ばれた3社全てが、それぞれ月面での活動を実現するための役割を、ispaceのサービスに託してくれたことを光栄に思います。これは、ispaceがCSAとの間に築いてきた過去数年間の信頼の証であり、北米市場においてispaceが認められたものと考えています。」
■Mission Control Space Services(https://missioncontrolspaceservices.com/) について
MCSSは、カナダにあるミッションオペレーション、機上自律システム、人工知能に特化した宇宙探査とロボティクスを手がける企業。エンドトゥエンドのロボティクスコマンドやコントロールシステムを開発。自律性、生産性、安全性、ミッションの科学的成果を高めることで、月、火星、地上等での遠隔かつ過酷な環境におけるロボットの管制や自動化を可能にしています。また次世代のための教育プログラムも実践しており、ミッションコントロールアカデミーではローバーが火星にあると想定した操縦学習を提供しています。
■Canadensys Aerospace (http://www.canadensys.com/)について
Canadensysは、低コストで信頼性の高い宇宙システムを提供する企業であり、地球周回軌道から宇宙空間、さらにはその先までのミッションに注力しています。地球軌道を越えて性能と寿命を発揮できるように特別に調整された小型で低コストのシステムで、世界中の政府および民間のミッションをサポートしています。Canadensysはこれまで以上に多くのステークホルダーが宇宙の拡大と開発に参加する宇宙開発の新時代を目指しており、商業的・社会経済的に存続しながら、より遠くへ、より長く、より多くのことを達成できるミッションを実現することに重点を置いています。氷の多い月の極地を探査するマイクロクラスのローバーから、360°の月面カメラまで、小さな宇宙機にも最新の状況認識機能を持たせ、新世代の探検家がミッションを体験できるようにすることで、私たちはより宇宙を身近なものにすることを目指しています。宇宙はあらゆる人に開かれた場所であり、少しでも現実に近づけるために努めています。
■NGC Aerospace Ltd (ngcaerospace.com)について
NGC エアロスペースは、創意工夫、知識、そして協力を通じて、自律的な探査の未来を形作ることを使命としています。NGCは、モバイルシステムの自律性、性能、信頼性、安全性を向上させながら、開発・運用コストを削減することを目的として、モバイルシステムのコンピューターインテリジェンスを設計および展開しています。対象となるモバイルシステムには、地球衛星、惑星軌道、ランダー、ローバー、パイロットレス航空機などが含まれます。NGCの誘導・航法・制御ソフトウェアは、45年間にわたり軌道上での運用に成功しており、将来の航空宇宙システムの高い自律性、敏捷性、正確性を実現する技術に貢献しています。
■株式会社ispace (https://ispace-inc.com/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、130名以上のスタッフが在籍。2010年に設立。Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営していました。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。ispaceは、NASAのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)プログラムに選出されたドレイパー研究所のチームの一員であり、ESAのPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。
■HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/hakuto-r/)について
HAKUTO-Rは、ispaceが行う民間月面探査プログラムです。独自のランダーとローバーを開発して、月面着陸と月面探査の2回のミッションを行う予定です。SpaceXのFalcon 9を使用し、それぞれ2022年[3]に月面着陸ミッション、そして2023年[4]に月面探査ミッションの打ち上げを行う予定です。このプログラムは、月の情報と地球―月輸送サービス構築に向けた技術検証を行います。
HAKUTO-Rのコーポレートパートナーには、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社、シチズン時計株式会社、スズキ株式会社、住友商事株式会社、高砂熱学工業株式会社、株式会社三井住友銀行、SMBC日興証券株式会社が参加しています。また、HAKUTO-Rメディアパートナーには、株式会社TBSホールディングス、株式会社朝日新聞社、株式会社小学館が参加しています。
[1] 2021年5月時点の想定
[2] 2021年5月時点の想定
[3] 2021年5月時点の想定
[4] 2021年5月時点の想定