2021年5月27日
月の地形研究のためのディープラーニングのアプリケーションを月着陸船に搭載
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)とカナダのミッションコントロールスペースサービス/Mission Control Space Services社(カナダ、以下MCSS)は、ペイロード輸送サービス契約を締結しました。
MCSSが開発する人工知能(AI)のフライトコンピューターをispaceが開発する月着陸船にペイロードとして搭載し、2022年[1]に予定されている民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション1で月面に輸送する予定です。このAIアプリケーションは、2021年4月14日にispaceがペイロード契約を発表したアラブ首長国連邦(UAE)ドバイの政府宇宙機関である Mohammed Bin Rashid Space Centre (ムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター、以下MBRSC)と連携し、同じミッションでispaceが輸送するMBRSCの月面探査ローバー「Rashid」と共同で実証試験を行う予定です。MCSSのアプリケーションは、エッジコンピューティングと言われるネットワークコンピューティングの技法の一つで、ディープラーニングのアルゴリズムが使われており、Rashidが月着陸船から展開された後、月面走行時に取得した画像から地形の特徴を認識することができます。
MCSS は、カナダ宇宙機関によるLunar Exploration Accelerator Program(LEAP)の一つに採択され、その一環として月面での実証試験を行います。
■Mission Control Space Services(MCSS)について
MCSSは、カナダにあるミッションオペレーション、機上自律システム、人工知能に特化した宇宙探査とロボティクスを手がける企業。エンドトゥエンドのロボティクスコマンドやコントロールシステムを開発。自律性、生産性、安全性、ミッションの科学的成果を高ることで、月、火星、地上等での遠隔かつ過酷な環境におけるロボットの管制や自動化を可能にしている。また次世代のための教育プログラムも実践しており、ミッションコントロールアカデミーではローバーが火星にあると想定した操縦学習を提供している。
■株式会社ispace (https://ispace-inc.com/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、130名以上のスタッフが在籍。2010年に設立。Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営していました。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。ispaceは、NASAのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)プログラムに選出されたドレイパー研究所のチームの一員であり、ESAのPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。
■HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/hakuto-r/)について
HAKUTO-Rは、ispaceが行う民間月面探査プログラムです。独自のランダーとローバーを開発して、月面着陸と月面探査の2回のミッションを行う予定です。SpaceXのFalcon 9を使用し、それぞれ2022年[2]に月面着陸ミッション、そして2023年[3]に月面探査ミッションの打ち上げを行う予定です。このプログラムは、月の情報と地球―月輸送サービス構築に向けた技術検証を行います。
HAKUTO-Rのコーポレートパートナーには、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社、シチズン時計株式会社、スズキ株式会社、住友商事株式会社、高砂熱学工業株式会社、株式会社三井住友銀行、SMBC日興証券株式会社が参加しています。また、HAKUTO-Rメディアパートナーには、株式会社TBSホールディングス、株式会社朝日新聞社、株式会社小学館が参加しています。
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[1] 2021年5月時点の想定
[2] 2021年5月時点の想定
[3] 2021年5月時点の想定