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ispace、ドレイパー研究所と中長期のパートナー契約を締結

2018年10月11日

アポロ計画の月面着陸を支えたランダー制御技術の提供

株式会社ispace(本社:東京都港区、代表取締役:袴田武史)は、2018年10月11日(木)に、チャールズ・スターク・ドレイパー研究所(The Charles Stark Draper Laboratory, Inc.、以下ドレイパー研究所)と月着陸船の誘導・航法・制御システム(Guidance Navigation and Control system、以下GN&Cシステム)において、2026年までの中長期のパートナー契約を締結したことを発表しました。

GN&Cシステムは、月面探査ミッション成功のために最も重要で、さらに正確な着陸のためのキーとなる技術の一つです。ispaceが月探査の目的とする水資源は、月の極域に存在が確認されていますが、極域は高低差のある険しい地域でもあります。ispaceが定常的に月探査ミッションを行い、本格的な資源探査を進めるためには、正確な着陸技術を開発し、月面着陸およびミッションの精度を高めて行くことが必要不可欠です。ispaceは、月の水資源探査を見据えた正確な着陸技術の獲得のため、この分野で多くの経験と確立した技術を持つとドレイパー研究所と共同でシステムを開発することを選択しました。

ドレイパー研究所は、1932年にアメリカ・マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology 、以下MIT)の器械工学研究所として創設され、後にMITから分離して独立した非営利研究開発組織です。人類を初めて月面に着陸させ、アメリカ航空宇宙局(the National Aeronautics and Space Administration、以下NASA)の宇宙飛行士を無事に地球に帰還させることに成功したアポロ計画で、GN&Cシステムを担当しました。GN&Cシステムにおいて世界で最も優れた研究所で、一貫して誘導・航法・制御技術の開発や実用化を行い、NASAの全ての有人ミッションをはじめ様々な宇宙ミッションに貢献しています。

本パートナー契約のもと、ドレイパー研究所は、ミッションの航行や着陸の制御に関する着陸計画、アルゴリズム、センサーなどのハードウェアの選定、ソフトウェア開発、試験とシミュレーション、そしてispaceへの技術移転と訓練などGN&Cシステム全般の提供に加えて、PDRやCDRなどの設計審査を支援します。これらの技術支援は、ispaceによる史上初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」の2020年月周回と2021年月着陸の2回のデモンストレーション・ミッションにも提供されます。また2021年以降の商業サービス開始後から2026年までの5年間は、ドレイパー研究所の開発したGN&Cシステムのソフトウェアは、ispaceのみが使用可能となります。

株式会社ispace Founder & CEO 袴田武史のコメント

「このパートナーシップは、月面探査月面輸送サービスの分野で大きな優位性につながります。世界で最も優れたGN&C技術を持つドレイパー研究所の協力を得ることで、ispaceはこの分野で最も先進的で確実な月輸送の能力を持つことが可能になります。」

ドレイパー研究所 宇宙システムプリンパルディレクター シェイマス・トゥーイーのコメント

「ispaceは月面探査を目指す民間プレイヤーの中で最もミッション達成に必要な要素を備えていると考えています。ミッションの成功は確度が高く、ispaceへの協力によりドレイパー研究所が再び月探査の歴史を作ることができる機会に感謝しています。」 

■ NASA 商業月ペイロードサービス(Commercial Lunar Payload ServicesCLPS(クリプス))

https://www.fbo.gov/index?s=opportunity&mode=form&id=46b23a8f2c06da6ac08e1d1d2ae97d35&tab=core&_cview=0

ispaceとドレイパー研究所は、10月9日(火)にNASAの公募案件であるCLPSプログラムへの提案を行いました。ドレイパー研究所が契約主体となる本プログラムへの提案は、設計から打上げ、そしてミッション実行までの全てが可能な小型月着陸船によるペイロード輸送サービスを実現し、将来の有人宇宙ミッションで再び月に降り立つというNASAの目標達成に貢献します。NASA CLPSの受注企業は2018年中に発表される予定です。

ドレイパー研究所 https://www.draper.com/

ドレイパー研究所は、1932年にアメリカ・マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology/MIT)の器械工学研究所として創設され、MIT分離後に独立した非営利研究開発組織です。人類を初めて月面に着陸させ、NASAの宇宙飛行士を6度無事に地球に帰還させることに成功したアポロ計画で、月着陸船の誘導・航法・制御システム(Guidance Navigation and Control system、以下GN&Cシステム)を担当しました。GN&Cシステムにおいて世界で最も優れた研究所で、一貫して誘導・航法・制御技術の開発や実用化を行い、NASAの全ての有人ミッションをはじめ様々な宇宙ミッションに貢献しています。

株式会社ispace http://ispace-inc.com/jpn

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。シリーズA国内過去最高額となる103.5億円の資金調達を実施し、日本初民間開発の月着陸船による「月周回」と「月面着陸」の2つのミッションを発表。JAXA、ルクセンブルク政府とも月資源開発で連携。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動。

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