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2022年、月の映像データはこの場所にやってくる。 民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」 Mission Control Centerを開設

2020年12月9日

株式会社ispace(本社:東京都港区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、2020年12月9日、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」で使用するミッションコントロールセンター(管制室)を、東京都中央区日本橋に開設しました。

(HAKUTO-RのMission Control Center)

ミッションコントロールセンターは、ランダー(月着陸船)およびローバー(月探査車)等の宇宙機を地球から操縦するための司令室で、2022年[1]に実施予定のMission1ではランダーの姿勢、温度などの状態をモニタリングし、ランダーへのコマンド(指令)やデータの送信、月までの航行中および月面からの画像や映像データの受信を行う予定です。

HAKUTO-Rでは、宇宙との通信のためにドイツにある欧州宇宙機関の欧州宇宙運用センター(European Space Operation Center/以下ESOC)が保有するアンテナネットワークを使用する計画です。東京のミッションコントロールセンターとESOCをつなぎ、ESOCのアンテナネットワークのうち、フランス領ギアナ、オーストリア・ニューノーシア、スペイン・セブロス、アルゼンチン・マラガ、ケニア・マリンディの5箇所にあるアンテナを使って、月に向かうランダーと通信を行っていく予定です。

HAKUTO-Rでは“非宇宙の人材と企業を巻き込むオープンな宇宙開発”を目指して、今回ミッションコントロールセンターを人が集いやすい東京の日本橋に開設しました。宇宙を新事業の市場として捉え、挑戦しようと志す人や企業がアクセスしやすい立地に置くことで、これまで宇宙に関わりがなかった非宇宙企業との協力や連携を促進させ、日本の宇宙産業の拡大に貢献していきます。また、企業だけでなく一般の方にもご覧いただける環境を整備して、より多くの方が宇宙開発に興味や関心を持っていただける機会を数多く創出していきます。

HAKUTO-Rのミッションコントロールセンターの開発には、衛星運用や国際宇宙ステーションへの観測ミッションをはじめ、アメリカ、ヨーロッパ、日本などで宇宙ミッションの経験を積んだispaceのエンジニアが参画し、様々なミッションから得た豊富な知見が詰められています。ミッションコントロールセンターは、6人のミッションディレクターを含む約20名のispaceの人員によって運営をされる予定です。

ミッションコントロールセンターでは、実際のミッション運用に加えて訓練やシミュレーションも行うため、本番環境と切り分けたシミュレーションエリアを設置して、事前およびミッション中の運用テストを実施することが可能になっています。ミッションで起こり得る課題を想定の上、運用テストおよびミッションのシミュレーションをおよそ6ヶ月かけて実施する予定です。

本番のミッションまでの間、ミッションコントロールセンターにはランダーの運用を担当するエンジニアが常駐し、操縦するためのソフトウェアやユーザーインターフェースなど本番環境の開発、シミュレーションや事前テストの準備を行う予定です。ミッション本番の期間中、特に打ち上げや着陸時などミッション期間中で最も重要なタイミングでは、24時間体制で宇宙機の管制を行う予定です。また2023年[2]に実施予定のMission2では、実際に月面に降り立ったローバーの操縦体験も行う予定です。

現在、HAKUTO-Rプログラムでは、2021年初頭からドイツのAriane Groupの施設で実施される予定であるランダーの組立・統合・試験フェーズに入る為の準備を進めています。開発の進捗に伴い、2022年[3]のMission1の着陸予定地点を、“Lacus Mortis” (死の湖) から“Lacus Somniorum” (夢の湖)に変更しました。Lacus Somniorumは、北緯38度、東経29.2度に位置し、よりバックアップの着陸地点の選択肢が増えるため、さらに平坦なため着陸のオペレーション実証が可能となる予定です。

引き続き、HAKUTO-Rのミッションにご注目ください。

HAKUTO-R代表 袴田武史のコメント

「10年前に月探査のミッションをはじめて少ない人数で小さなローバーを開発しはじめてから、10年後のいま100名を超える仲間とともに月着陸のデザイン発表そしてミッションコントロールセンターを開設するまでのところに来ることができました。ここは、月と地球がつながる場所で、私たちが月面への着陸する瞬間を迎える場所です。当初から宇宙に関わっていない方も参加できるオープンな宇宙開発を進めてきました。日本橋という恵まれた立地に開設できたことで、その瞬間をみなさんと共有できる環境になります。私たちの月面着陸のミッションを通して、宇宙や月の開発に関心を持っていただき、宇宙産業が発展するきっかけを多く生み出していきたいです」

株式会社ispace http://ispace-inc.com/jpn

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。2020年8月までに累計135.5億円の資金調達を実施。日本初民間開発の月着陸船による「月面着陸」と「月面探査」の2つのミッションを行うプログラム「HAKUTO-R」を発表。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動。

HAKUTO-R http://ispace-inc.com/hakuto-r

HAKUTO-Rは、ispaceが2023年までに行う予定の民間月面探査プログラムです。独自のランダーとローバーを開発して、2022[4]年に月面着陸と2023[5]年に月面探査の2回のミッションを行う予定です

[1] 2020年12月時点での想定

[2] 2020年12月時点での想定

[3] 2020年12月時点での想定

[4] 2020年12月時点での想定

[5] 2020年12月時点での想定

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