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SpaceX Falcon 9ロケットで2020年、2021年に月へ打ち上げ 史上初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」始動 月面探査レースは次のフェーズへ

2018年9月26日

株式会社ispace(本社:東京都港区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、計画を進める月周回と月着陸の2回のミッションに向けて、アメリカのSpace Exploration Technologies社(以下SpaceX)と打ち上げ契約を締結しました。同社が提供する再使用型ロケットFalcon 9にランダー(月着陸船)を搭載して打ち上げ、月周回ミッションを2020年半ば、月着陸ミッションを2021年半ばにそれぞれ行います。ランダーを搭載したロケットは、アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターまたはケープカナベラル空軍基地より打ち上げられる予定です。またispaceは、この史上初の民間による月周回と月着陸を目指す月面探査プログラムの名称を「HAKUTO-R」に決定致しました。

本契約の締結は、月面探査を行う民間企業として複数回のミッションの打ち上げを締結した世界初の事例です。ispaceは、この2回のデモンストレーションを2020年半ば・2021年半ばに実施した後、年間複数回の本格的な商業ミッションを連続して実行する計画です。2回のデモンストレーション・ミッションに向けて、2018年8月に国内外26名の専門家によるランダーの基本設計審査を通過し、現在詳細設計に移行しています。2019年第二四半期には、詳細設計を完了させ、以降月に向かうランダーフライトモデルの製造を進め、さらに今後月面を探査するローバー開発も並行して行なっていきます。

HAKUTOは、日本で古くから月を象徴する動物として親しまれている白い兎(うさぎ)を意味しています。人類初の月面探査レースGoogle Lunar XPRIZEに唯一の日本チームとして参加し、月面探査ローバーの開発に特化して活動を続けてきました。2015年にレースの中間賞を受賞、2017年にはファイナリスト5チームに選出されましたが、他チームのランダー開発とロケット契約が成立することを前提としたことで自力での月輸送ができず、2018年3月の期限をもってレースへの挑戦を終了致しました。

HAKUTO-Rは、HAKUTOを応援していただいた多くの皆様の想いを継承しつつ、初心に立ち返って、史上初の民間月面探査実現への挑戦を”R”eboot(再起動)するという想いを込めました。ロゴは、HAKUTOでモチーフとした白いうさぎと頭文字の「H」を継承しながら、さらに一筆書きできる曲線によって地球から月へ向かうランダーの軌道と月面を表現しています。月の水資源を軸とした宇宙資源産業を創出して月を生活圏にするため、2018年2月までにシリーズAで調達した103.5億円の資金を活用し、独自にランダーを開発するチーム作りとSpaceXとの打ち上げロケット契約を実現しました。HAKUTO-Rでは1回目のミッションでランダーを月周回軌道へ投入して軌道上からの月探査、そして2回目のミッションではランダーで月面に軟着陸して月面探査ローバーによる月面探査を行います。

Google Lunar XPRIZE終了後もレース参加チームが、月面一番乗りを競い合っています。HAKUTO-Rをはじめ、アメリカのAstroboticやMoon Express、ドイツのPT Scientists、インドのTeamIndus、そしてイスラエルのSpace ILが引き続き民間による月面探査の実現を目指して、レースの枠組みを越えて技術開発にしのぎを削っています。HAKUTO-Rでは、月を生活圏にすることを目指し、月輸送技術の獲得と月面への商業輸送実現に向け、2020年半ばと2021年半ばにミッションを行います。

~ HAKUTO-R 最新ランダーおよびローバーデザイン ~

~ HAKUTO-R ロゴ ~

HAKUTO-R代表 袴田武史のコメント

「HAKUTOの挑戦をご支援いただいた全ての皆様に改めて感謝申し上げます。7年間のHAKUTOでの経験を生かして、この半年間、準備を重ねてきました。調達した資金を活用して、ランダー開発を進め、2回分の打ち上げ契約を締結しました。基本設計を完了し、世界各国のサプライヤーや技術者たちと、ランダー製造に向けて日々詳細な設計を進めています。HAKUTO-Rと、一緒に月面に行きましょう。」

グウィン・ショットウェル/Gwynne Shotwell President and COO of SpaceXのコメント

「私たちは今宇宙探査の新しい時代にいます。ispaceによる最初の月探査ミッションの打ち上げ機に選ばれたことは非常に嬉しい。月に向かうイノベーティブなランダーを輸送できることを楽しみにしています。」

株式会社ispace http://ispace-inc.com/jpn

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。2018年2月までにシリーズA国内過去最高額となる103.5億円の資金調達を実施。日本初民間開発の月着陸船による「月周回」と「月面着陸」の2つのミッションを行うプログラム「HAKUTO-R」を発表。アメリカSpaceX社のFalcon 9ロケットで2020年と2021年に打ち上げ予定。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動。

HAKUTO-R http://ispace-inc.com/hakuto-r

HAKUTO-Rは、ispaceが2021年までに行う史上初の民間月面探査プログラムです。独自のランダーとローバーを開発して、2020年に月周回と2021年に月面探査の2回のミッションを行います。SpaceXのFalcon 9を使用し、それぞれ2020年半ばに月周回ミッション、そして2021年半ばに月面探査ミッションの打ち上げを行う予定です。

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