2025年10月22日
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)は、トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:佐藤恒治、以下トヨタ自動車)から、将来の月ミッションで運用するために現在ispaceが開発を進める次世代小型探査車(以下次世代小型ローバー)の概念設計について、技術評価および品質向上の支援を受けるための契約を締結したことをお知らせいたします。
ispaceは月着陸ミッションを通じて、自社開発のランダー(月着陸船)やローバー(月面探査車)を通じて様々なデータを取得し、お客様へ提供するデータサービスを展開しており、民間企業による月市場への参入を支援し促進する上で、重要な取り組みと言えます。今般、ローバーの更なる探査性能の向上によるデータ収集力の強化を見据え、次世代小型ローバーの開発に着手しました。
トヨタ自動車は長年の自動車開発を通じシステム開発およびその統合に関する知見を有しており、その知見に基づき宇宙研究開発研究機構(JAXA)と共同で月面探査車「有人与圧ローバー(トヨタ自動車における呼称 ルナクルーザー)」の開発に取り組んでいます。
本契約を通じてispaceはトヨタ自動車にシステムレベルで技術的な評価をいただき、次世代小型ローバーの開発において最適なシステム設計解へ導くための支援を受けます。
今後ispaceは、ミッション3以降に自社開発した月面探査車および次世代小型ローバーを月に輸送し、運用を通じて月面走行データ等を取得していく予定であり、データサービスを通じて、トヨタ自動車のスペースモビリティ開発に活用いただくことを期待しています。
またispaceは民間主導による将来的な月面および月周回インフラストラクチャー構想(以下 シスルナ構想)の検討にあたり民間事業者間の協力体制構築を進めております。今回のトヨタ自動車との取り組みもその一環と位置付け、シスルナ構想の実現に向け積極的に連携を進めて参ります。
● 株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田武史のコメント
「このたびトヨタ自動車と小型月面ローバーの技術検証に関する契約を締結することとなりました。これまでのミッションで得た経験やデータに加え、今後控える後続ミッションで運用予定の次世代小型ローバー開発へのトヨタ自動車による支援は、同時にトヨタ自動車のスペースモビリティ開発への貢献につながることも期待できると考えています。ispaceは、トヨタ自動車をはじめ多くのステークホルダーと共に信頼性、安全性の高いローバー開発および月面探査の実現を目指していきたいと思います。」
● トヨタ自動車株式会社 先進スペースモビリティ開発部長 山下健氏のコメント
「この度の契約による取組みは、トヨタ自動車の知見を新たな分野へ活用する機会であるだけでなく、既に宇宙空間で数々の実績を挙げられているispaceより実践的な宇宙機開発の知見を頂く場でもあると考えています。この連携を通じ両社のローバー開発がより充実・加速することを期待するとともに、民間主導の月面開発構想への参画を通じスペースモビリティ事業の具体化を進めていきたいと考えます。」
● 株式会社ispace ( https://ispace-inc.com/jpn/ )について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2も2025年1月15日に打上げを完了した。これらはR&D(研究開発)の位置づけで、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化を目的としたミッションであり、結果、ispaceは月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することが出来た。2027年iには、米国法人が主導するミッション3(正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)の打ち上げを予定しており、ミッション1、2で得られたデータやノウハウをフィードバックした、より精度の高い月面輸送サービスの提供によって、NASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。さらに、2028年iiには、経産省SBIR補助金を活用し、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4(旧ミッション6)の打ち上げを予定している。
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i 2025年10月時点の想定
ⅱ当該打上げ時期については2025年10月時点の予定であり、今後変更する可能性があります。なお、当社が補助対象事業として採択されたSBIR(Small Business Innovation Research)制度の公募テーマ「月面ランダーの開発・運用実証」の事業実施期間が原則として2027年度とされており、SBIR制度に基づく補助金の対象となるミッション4は、当初2027年中の打上げとして経済産業省及びSBIR事務局と合意しておりましたが、2025年10月時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については今後、関係省庁及びSBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省により正式に計画変更が認可されることとなります。