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ispace-U.S.、米Zeno Power社と放射性同位体電源を使った月の越夜のための 戦略的提携を発表

2025年4月10日

 株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)は当社米国法人であるispace technologies U.S., inc(以下ispace-U.S.)が、米国現地時間2025年4月10日(木)、コロラド州コロラドスプリングスで開催されている米国最大規模の宇宙カンファレンス「第40回Space Symposium」にて、宇宙用途における原子力発電のパイオニアであるZeno Power Systems(以下Zeno Power)と、月面探査ミッションで越夜を成功させるための技術を共同開発する戦略的提携を発表しましたのでお知らせいたします。

また、両社はこの能力の有効性を月面で検証することを目的とした実証ミッションを、早ければ2027年に実施することを目指しています。


Zeno Power CEO兼共同創業者タイラー・バーンステイン(左)と
ispace-U.S. CEO エリザベス・クリスト(右)

月面では温度が-173°C(-280°F)まで下がり、約2週間にわたり太陽光が一切届きません。そのため太陽光発電のみによる長期間のミッション運用は困難となり、長期間の活動を維持することが出来ないため、アメリカ航空宇宙局(NASA)は越夜克服を人類の月面における持続可能なプレゼンスを築くための最も重要な技術的課題と位置づけています。

この課題に対応するため、今般ispace-U.S.とZeno Powerは覚書を締結し、Zeno Powerの放射性同位体電源(Radioisotope Power System、以下RPS)を将来の月面ミッションに統合することを共同で検討していきます。太陽光パネルとバッテリーによる電力供給とは異なり、RPSは太陽光の有無にかかわらず、連続的かつ信頼性の高い熱制御と電力供給ができるため、「月の夜を生き延びる」機能を実現する上で理想的な技術です。

 

  • ispace-U.S. CEO エリザベス・クリストのコメント

「Zeno Powerと協力して、月面探査における最も重要な課題の一つである月の夜間の電力供給に取り組めることを非常に嬉しく思います。Zeno Powerの最先端の電力技術は、極限状態においても月面活動を持続させる信頼性の高いソリューションを提供してくれます。これは私たちのミッション、そして長期的な月面探査に不可欠です。」

 

  • Zeno Power CEO共同創業者タイラー・バーンステインのコメント

「ispace-U.S.との協業を通じて、月面運用に長らく立ちはだかってきた制約を打ち破る電力システムを提供できることを誇りに思います。共に、昼を超えて生き延び、発展していく堅牢で持続可能な月面インフラの実現を目指します。越夜の克服は、人類およびロボティクスによる月面での持続的な活動実現の鍵であると確信しています。」

 

2018年に設立され、ワシントンD.C.とワシントン州シアトルに拠点を置くZeno Powerは商業用放射性同位元素発電システムを開発する企業であり、コンパクトなデバイスで深海から深宇宙まで最も過酷、且つ遠隔での環境において継続的にエネルギーを供給する。Zeno Powerは現在、NASAおよび国防総省と総額6,000万米ドル相当の契約を締結しており、2026年までに顧客向けに初期のRPSを実証する予定。

 

コロラド州デンバー郊外に位置する、株式会社ispace のUS法人。地球から月への輸送サービスを政府及び民間顧客に提供する米国の月開発企業。月の資源活用に着目し、月、および地球と月の間において人類の生活圏、経済圏を構築することを目指している。ispace-U.S.は米国で設計・製造・打ち上げが行われるAPEX1.0ランダー開発の中心地であると同時に、北米における事業の拠点としての役割を担う。Team Draperの一員として、アメリカ航空宇宙局(NASA)の商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services, CLPS)に採択され、NASAが後援する複数の科学ペイロードを月周回軌道及び月面へ輸送する予定。

 

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2は2025年1月15日に打上げを完了し、最短2025年6月6日に、月面着陸へ再挑戦の予定です。ミッション3は2026年[i]、ミッション4(旧ミッション6)は2027年に[ii]打ち上げを行う予定。

ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階の内Success8まで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされている。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。

[i]   2025年4月時点の想定

[ii]  2025年4月時点の想定

 

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