2025年3月7日
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)と、株式会社スペースデータ(東京都港区、代表取締役社長:佐藤 航陽、以下スペースデータ)は本日、月環境の物理シミュレーションを目的としたデジタルツイン開発構築に向けた戦略的協業の覚書を締結しました。本協業を通じて、データ活用により月探査や将来的な月面活動のコスト及びリスクの低減に貢献し、新たなビジネス機会を創出することを目指します。
覚書締結の署名式にて、株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田武史(左)と株式会社スペースデータ 代表取締役社長 佐藤航陽(右)
近年、宇宙データの活用は急速に進展し、地球観測、インフラ管理、防災、資源開発、気象予測など多岐にわたる分野で実用化が進んでいます。同時に、月探査の進展に伴い、月面の地形や環境データに対する需要も高まりつつあります。月開発には、アクセスの制約や高額な打ち上げコストといった課題が伴います。そのため、確実な月探査および将来的な月面活動の成功のためにも、月環境をデジタル上で再現するシミュレーション技術が不可欠です。
本協業では、ispaceの探査ミッションで取得した月面データを活用し、両社で高精度な地形モデルの構築を目指します。さらに、宇宙ロボットや探査機の動作検証に加え、通信遅延や低重力環境など、月特有の物理シミュレーションを実施できるシステムの開発を行う予定です。また、上記に際し潜在顧客へのヒアリングや月データ取得計画の検討を共同で実施することで、より顧客需要に即したシステムの開発を目指します。
本デジタルツインを活用することで、探査ミッションのリスクを低減し、計画の精度を向上させるとともに、各国宇宙機関や民間企業との連携を進め、月での実証試験に向けた事前検証環境としての活用を推進します。最終的には、ispaceとスペースデータは、共に月データの商業利用を推進し、月探査の更なる拡大を支援するデジタルツインのプラットフォーム構築を目指します。
ispaceは、日・米・欧の3法人でそれぞれの地域の文化や多様性を活かしながら、1つの統合的なグローバル企業として宇宙開発を進めてまいりました。2025 年 1 月15日に日本法人が主導するミッション2の打ち上げを完了し、今後、最速2025年6月6日に月面着陸に再挑戦の予定。続く2026年には米国法人が主導するミッション3を順次実行していく計画です。また、2027年には、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4(旧ミッション6)を予定しています。世界中の政府、企業、教育機関からの高まる需要に応えるため、ispaceはミッション3およびそれ以降のミッションのペイロードサービス契約とデータサービスを提供してまいります。
● 株式会社ispace 代表取締役CEO&Founder 袴田武史のコメント
「ispaceは2021年よりCislunar Digital Twin 2030構想を掲げ、「リアルとデータの融合」の実現による月ペイロード輸送の拡大を目指してきました。今回のスペースデータ社との協業により、よりニーズに即したデータ活用プラットフォームを提供することでシスルナ領域における顧客の活動を促進し、シスルナ経済圏のさらなる発展に貢献することを期待しています。」
● 株式会社スペースデータ代表取締役社長 佐藤航陽のコメント
「スペースデータはデジタル技術を活用した『宇宙の民主化』をミッションに掲げ、宇宙をより身近でアクセスしやすい場とすることを目指しています。本協業を通じて、ispaceが取得した貴重な月面データを活用し、デジタルツイン技術を発展させることで、月面探査のコスト削減と安全性向上に貢献していきます。
また、私たちはオープンアーキテクチャを採用し、技術の標準化を進めることで、世界中の企業や研究機関と連携しながら、宇宙を人類の生活圏へと拡張するための基盤を築いていきます。この協業が、持続可能な月面経済圏の形成に向けた第一歩となることを期待しています。」
● 株式会社スペースデータ (https://spacedata.jp)について
スペースデータは、宇宙を「民主化」し、誰もが使えるインフラとして身近にすることを目指しています。具体的には、地球および宇宙環境を再現するデジタルツイン技術や、宇宙ロボット及び宇宙ステーションのオペレーティングシステム開発等に注力しています。「宇宙」と「デジタル」の技術を融合することで、宇宙産業に新たな変革を促し、持続可能な宇宙社会の実現に向けて取り組んでいます。
● 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/jpn/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2は2025年1月15日に打上げを完了し、今後、最速2025年6月6日に月面着陸に再挑戦の予定。またミッション3は2026年[i]、ミッション4(旧ミッション6)は2027年に[ii]打ち上げを行う予定。
ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階の内Success8まで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされる予定。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。
[i] 2025年3月時点の想定
[ii] 2025年3月時点の想定
本件に関するお問い合わせ
ispace:広報 山本 PublicRelations@ispace-inc.com
スペースデータ:https://spacedata.jp/contact