2025年3月4日
進行中のミッションに関する中間報告を実施、管制室もメディアに公開
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)は、2025年1月15日に打ち上げを完了し、現在月を目指して航行を続けるMission 2 “SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON”(以下ミッション2)のRESILIENCEランダーの月面着陸タイミングを、最短6月6日(金)午前4時24分(日本時間)に設定したことを本日発表しましたので、お知らせいたします。
現時点でバックアップとする着陸地点候補は3か所あり、各地点で着陸日及び時間帯が異なります。運用の状況に応じて、着陸予定日は6月6日午後~8日に変更する可能性があります。
ミッション2中間報告記者発表会にて、株式会社ispace 代表取締役CEO&Founder 袴田武史
ispaceは本日、ミッション2の中間進捗および最新情報を、東京 日本橋にあるHAKUTO-R ミッション・コントロール・センター(管制室)で行われた記者発表会で報告し、通常はミッションの運用中の公開が困難な管制室の様子を特別にメディアに公開しました。また、本会見の様子は、公式YoutubeチャンネルとXで世界に同時配信されました。
ミッション2は、事前に設定した月面着陸に向けた10段階のマイルストーンの内、既に5つを順調に達成し、現在、低エネルギー遷移軌道上の深宇宙を航行しています。ミッション1の経験を、効果的且つ効率的に反映し、各マイルストーンの達成確度をさらに高めるためここまで取り組んで来た結果、予定通りの動作を確認し、成果を得ることが出来ています。ランダーの7つのサブシステムの状態は良好であり、全て正常に作動していることを確認しています。
・構造:打ち上げで経験する過酷な状況と振動に耐えることができることを改めて確認しました。また分離時には、着陸機の4本の脚がすべて展開したことが確認出来ています。
・熱制御:航行中の熱環境の状況は正常で、ヒーターの消費電力量は想定通りです。
・推進:安定かつ正常に動作しており、これまでに6回の軌道制御マヌーバを完了しました。計画通りの推進剤の消費も計画通りであることを確認できています。
・軌道誘導、航法、制御:姿勢センサーおよびアルゴリズムの動作はすべて正常。着陸制御系のセンサーについては今後確認予定です。
・通信:安定したアップリンクとダウンリンクを維持しており、高利得アンテナについても、今後確認予定です。
・電力:太陽電池アレイとバッテリーは正常であり、電力は予想範囲内に収まっています。
・データ処理:搭載されたすべてのコンピュータ、フライトソフトウェア、自律機能および操作は正常に動作しています。
また、搭載しているペイロードも異常なく、軌道上で予定されている運用を計画通り実施しています。軌道の制御運用についても全て計画通りで、ミッション2は順調に進捗しています。軌道制御運用についても全て計画通りに実施を完了してきており、総じてミッション 2 は順調に進捗しています。
今後、ispaceの運用チームは、管制室から引き続き軌道の制御を行いながらRESILIENCEランダーを月へと導き、マイルストーンのSuccess 6に設定されている深宇宙軌道制御マヌーバを、4月24日頃に完了する予定です。その後、5月6日頃に月重力圏へ到達、月周回軌道投入を実施し、マイルストーンのSuccess 7を達成する予定です。
この様にispaceのミッション2は、約4.5カ月という比較的長い時間をかけて月までの到達を目指しますが、この間、運用エンジニアを中心とするチームは、日々様々な課題に対処しつつ、ミッション精度の向上を目指しています。時間をかけた日々の経験値の獲得はR&Dミッションの醍醐味であり、ミッション3以降の本格的な商業化ミッションへとつなげていく貴重なispaceの財産です。なお、ミッション3以降の商業化ミッションでは、打ち上げから約数週間での着陸をする輸送サービスを当社は提供していく計画です。
記者発表会で初公開されたRESILIENCEランダーが2月18日に撮影した地球の写真
ispaceは、日・米・欧の3法人でそれぞれの地域の文化や多様性を活かしながら、1つの統合的なグローバル企業として宇宙開発を進めてまいりました。2025 年 1 月15日に日本法人が主導するミッション2の打ち上げを完了し、続いて2026年には米国法人が主導するミッション3を実行していく計画です。また、2027年には、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4(旧ミッション6)を予定しています。世界中の政府、企業、教育機関からの高まる需要に応えるため、ispaceはミッション3およびそれ以降のミッションのペイロードサービス契約とデータサービスを提供してまいります。
● 株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田武史のコメント
「1月15日にRESILIENCEランダーが月に向けて二度目の旅を開始してからまもなく7週間が経ちます。ミッション1の時と比べると、ミッション2は打ち上げ直後から期待通り、スムーズに運用が進行しており、まさに、ミッション運用のスペシャリストたちが綿密に準備が出来ていたことの証明であり、前回の経験や知見がしっかりと活かされていることを実感しています。残すマイルストーンは5つ。全てを達成し、堂々と月面に着地してくれると信じ、従業員一同全力で取り組みたいと思います。」
● 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/jpn/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2の打ち上げは2025年1月15日に完了し、ミッション3は2026年[i]、ミッション4(旧ミッション6)は2027年に[ii]打ち上げを行う予定。
ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階の内Success8まで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされる予定。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。
● HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/jpn/m1)について
HAKUTO-Rは、ispaceが行うミッション1およびミッション2を総称する、民間月面探査プログラム。独自のランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)を開発して、月面着陸と月面探査の2回のミッションを行う。SpaceXのFalcon 9を使用し、2022年にミッション1(月面着陸ミッション)のランダーの打ち上げを完了し、2025年1月15日にはミッション2(月面探査ミッション)の打ち上げを完了した。
オフィシャルパートナーである株式会社三井住友銀行により命名されたMission 2 “SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON”には、新たな始まりやチャンスの意が込められている。
HAKUTO-Rはオフィシャルパートナーとして株式会社三井住友銀行、コーポレートパートナーとして、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社、シチズン時計株式会社、スズキ株式会社、高砂熱学工業株式会社、SMBC日興証券株式会社、 Sky株式会社、Epiroc AB、株式会社ジンズ、栗田工業株式会社が参加している。
[i] 2025年3月時点の想定
[ii] 2025年3月時点の想定