2025年2月13日
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)は、サウジアラビアのザフラーンにあるキング・ファハド石油・鉱物大学(以下KFUPM)と将来的な月面探査の機会と能力開発に関する検討のため覚書を締結したことを発表しましたので、お知らせいたします。
KFUPMのキャンパスにて、株式会社ispace Executive Fellowの斉木敦史(左)とKFUPM Research & Innovationの
Vice President、Dr. Ali Al-Shaikhi氏(右)
本合意は、サウジアラビアのダーランにあるKFUPMキャンパスをispaceの代表が訪問し、共同で発表いたしました。KFUPMとispaceが月面探査技術の開発、月面科学・研究の創出(ISRU活動を含む)、KFUPMのペイロードの月面輸送の可能性など、潜在的な分野に焦点を当てて協議を行うための枠組みとなります。
さらに、ispaceの月面探査における専門的な知識と経験を活かし、KFUPMの学生や教員を対象とした能力開発の機会を模索していくため、学際研究センター(IRC)の航空宇宙探査部門が本協力関係の構築を主導していく予定です。
● 株式会社ispace 代表取締役CEO 袴田 武史コメント
「このたびのKFUPMとの合意は、サウジアラビアが描く月探査への目標を前進させるために協力する方法を検討するもので、とても嬉しく思います。ispaceの経験や知見がIRCの研究開発を今後さらに発展させることができることを期待すると共に、一緒に月へ行くことも楽しみにしたいと思います。」
● KFUPM Research & InnovationのVice President、 Ali Al-Shaikhi氏コメント
「この覚書の締結は、航空宇宙分野における革新的でエキサイティングな取り組みの始まりを意味しています。このパートナーシップは、宇宙のフロンティアの開拓と最先端の研究を推進する私たちの共通の取り組みを象徴しています。KFUPMの卓越した研究力とispaceの月面探査に対する先駆的な精神を組み合わせることで、変革的な機会を生み出し、未来の世代にインスピレーションを与えるとともに、サウジアラビアが宇宙探査の未来を創造する上で重要な役割を果たすことを確かなものにしていきます。」
ispaceは、日・米・欧の3法人でそれぞれの地域の文化や多様性を活かしながら、1つの統合的なグローバル企業として宇宙開発を進めてまいりました。2025 年 1 月15日に日本法人が主導するミッション2の打ち上げを完了、続いて2026年には米国法人が主導するミッション3を順次実行していく計画です。また、2027年には、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4(旧ミッション6)を予定しています。世界中の政府、企業、教育機関からの高まる需要に応えるため、ispaceはミッション3およびそれ以降のミッションのペイロードサービス契約とデータサービスを提供してまいります。
● キング・ファハド・石油・鉱物大学(KFUPM)について(https://kfupm.edu.sa)
KFUPMは”Dream Big &Accomplish“をモットーに掲げ、アラブ地域において第1位の教育機関です。1963年にサウジアラビアで設立され、約1万人の学生と800人以上の教職員が在籍し、質の高い学士および大学院課程の学位プログラムを提供しています。また、KFUPMは最近、15の学際的研究センター(IRC)と、4つの応用研究センター(ARC)、そして3つの共同研究センター(JRC)で構成される研究エコシステムを構築しました。さらに、事業化を加速するためのビジネスインキュベーターや技術アクセラレーターも備えています。KFUPMは地域社会と人類ヘの貢献を目標とした、Research to Market戦略を推進します。KFUPMには、航空宇宙学際研究センター(IRC-ASE)があり、宇宙開発の主要技術の開発、ナノ衛星技術、宇宙データ解析、深宇宙技術(探査車など)、宇宙材料開発の分野における能力の向上を図り、KFUPMとサウジアラビアを世界の宇宙開発競争の舞台に上げるための「New Space Leadership」ミッションを支援しています。IRC-ASEが初めて自社開発したナノ衛星は、地球観測と技術実証のため、2027年に打ち上げ予定です。詳細については、https://ri.kfupm.edu.sa/irc-aseをご覧ください。
● 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/jpn/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2は2025年1月15日に打上げを完了し、ミッション3は2026年[i]、ミッション4(旧ミッション6)は2027年に[ii]打ち上げを行う予定。
ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階の内Success8まで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされる予定。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。
[i] 2025年2月時点の想定
[ii] 2025年2月時点の想定