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ispace-U.S.、ミッションで使用する通信リレー衛星の名称を発表 アルパインとルーパインが米国初の月裏側探査ミッションでの通信を確立

2024年10月16日


アルパインとルーパインのイメージ画像

通信リレー衛星は、地球と月面間の通信やデータ送受信を確立させる、シスルナ経済圏の発展には必要不可欠となります。戦略的に配置される通信リレー衛星は、月面において、資源のモニタリングやミッションサポートに必要な通信を継続的に確立します。通信リレー衛星に求められる信頼性と通信サービスのカバー範囲は、シスルナ経済圏の成長に合わせて向上させる必要があり、通信断絶回避、宇宙機や月面基地、ミッション・コントロール・センター間におけるシームレスな通信確保が必須となります。

9月にispaceの米国法人である、ispace-U.S.は米国コロラド州 デンバーの本社を拠点とする、サミット・ミッション・コントロール・センター(MCC)の設立を発表しましたが、このたび、イタリア ミラノで開催中の第75回国際宇宙会議(IAC)において、ミッション3で打上げを予定している通信リレー衛星を「アルパイン」と「ルーパイン」と命名したことを発表いたしました。

アルパインとルーパインという名前には、ispace-U.S.がロッキー山脈の麓に位置していることに大きく関係があります。通信リレー衛星が深宇宙を航行していくように、月の過酷な環境と山の厳しい環境には類似するところがあります。そして、険しく厳しい高山にも、その地形を映し出す湖やルピナスなど野生の花々といった自然の息吹が存在します。このような生命力は、将来、月面で人類が活動を維持するために必要となる水や資源を探索する私たちの使命に共鳴し、勇気を与えてくれます。

アルパインとルーパインは、ミッション3でAPEX 1.0ランダー(月着陸船)が月面着陸する前に、月周回軌道上で展開されます。2基の通信リレー衛星により、月の裏側、南極付近に位置するSchrödinger Basin(シュレーディンガー盆地)に着陸するAPEX1.0ランダーと地球との間の通信を可能にします。ispace U.S.は、Team Draperの一員としてアメリカ航空宇宙局(NASA)の商業月面輸送サービス(CLPS: Commercial Lunar Payload Services)のタスクオーダーCP-12に採択され、NASAによる複数の科学的ペイロードを、月の裏側、南極付近に位置するシュレーディンガー盆地へ輸送する計画です。RTXの小型衛星メーカーであるBlue Canyon Technologiesは、通信リレー衛星として2基の小型衛星バス(Venus-100)を月周回軌道に展開します。

また、アルパインとルーパインは双方向Sバンドコマンド、テレメトリリンク、および低遅延のリアルタイム通信のための月面からの高速Kaバンドでのアップリンク受信機能と地球へのXバンドダウンリンク送信機能を搭載しています。主要な月面ミッション完了後、2基の通信リレー衛星は極域を起点に月をカバーする、円形に近い高高度の月の極軌道、高円極軌道(High Circular Polar Orbit 、HCPO)に軌道を修正し、周回します。これにより、7割近くの月面南極域と地球の間の通信が可能となり、より貴重なデータサービスの利用機会を顧客へ提供可能となります。

さらに、NASAのペイロード以外にも、アルパインとルーパインは測位・航法・タイミング(PNT)、環境モニタリング、月周回軌道近傍領域認識(SDA)技術の実証など潜在的なペイロードのためのプラットフォームを提供します。現在、ミッション3で打ち上げる予定のAPEX 1.0ランダー及び通信リレー衛星には、ペイロードの搭載枠は残されています。

非営利のエンジニアリング・イノベーション企業であるドレイパー研究所は、米国の国益と安全保障上のニーズに応え、政府、学術界、産業界において技術の革新を推進し、次世代のイノベーターを育成、複雑な課題の解決に取り組んでいます。1,600名に及ぶエンジニアや科学者が集約した多分野にわたるチームが協力し、他に類を見ないソリューションの開発に取り組んでいます。 ドレイパーのアプローチにより、顧客のニーズに焦点を当て、新たな能力を提供します。

コロラド州デンバー郊外に位置する、株式会社ispace のUS法人。地球から月への輸送サービスを政府及び民間顧客に提供する米国の月開発企業。月の資源活用に着目し、月、及び地球と月の間において人類の生活圏、経済圏を構築することを目指している。ispace U.S.は米国で設計・製造・打ち上げが行われるAPEX1.0ランダー開発の中心地であると同時に、北米における事業の拠点としての役割を担う。Team Draperの一員として、アメリカ航空宇宙局(NASA)の商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services, CLPS)に採択され、NASAが後援する3つの科学ペイロードを月周回軌道及び月面へ輸送する予定。ispace U.S. CEOのRonald J. Garan Jr.は元NASA宇宙飛行士であり、宇宙産業における第一人者。彼を含むispace U.S.の経営陣には、米国の数々の宇宙プログラムにおいて活躍したプロフェッショナルが集結。

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