2022年1月20日
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)の子会社であるispace Europe S.A.(以下ispace EU)と、月周回衛星コンステレーションを開発するヨーロッパのPlus Ultra Space Outposts社(以下Plus Ultra社)は、月探査で協力する覚書を締結致しました。今回の覚書の内容には、通信・航法サービスを提供する衛星を、早ければ2024年[i]に月周回軌道に輸送・展開することが含まれています。
Plus Ultra社とispaceは、両社の能力を組み合わせて、月および月周回軌道における商業的宇宙資源の可能性を更に追求することを目指します。本覚書に基づき、ispaceはPlus Ultra社の月周回衛星をペイロードとして輸送し、Plus Ultra社はispaceに月周回軌道上の通信・航法サービスを提供するなど、様々な協力の可能性が想定されています。
Plus Ultra社は、月周回衛星「Harmony」を開発中で、月周回軌道を含む月のあらゆる場所と地球上のあらゆる場所との間で、最大100Mbpsの高速通信を継続的に提供することを目指しており、「Harmony」は2024年[ii]に運用を開始することが予定されています。この月周回衛星の活用により、ispaceだけでなく政府系宇宙機関や民間事業者が運用するランダーやローバー、スペースタグや大型輸送システムなどの宇宙機の航行が最適化され、月面における経済の新時代を創る、月面での活動が可能となることが見込まれます。
● Plus Ultra社 Founder & CEO Carlos Manuel Entrena Utrillaのコメント
「シスルナ経済を確立するためには、宇宙開発とビジネスのパラダイムシフトが必要であり、ispaceとの今回の合意はその目標に向けた大きな一歩となるでしょう。今回の覚書は月周回衛星「Harmony」への商業的関心が高まっていることを示しており、我々は月面上の宇宙機や装置に向けたサービス提供の開始が可能です。我々の衛星コンステレーションによって、月の通信とナビゲーションの事実上の業界標準を設定し、現在の制約のある状態から、新たな機会をもたらす24時間365日の定期サービスへと発展させることを目指します。Moonlight InitiativeやNASAによる宇宙ネットワークなどの計画によって、ESAやNASAなどの宇宙機関は、月の通信とナビゲーションシステムに明確に関心を示しています。」
● ispace Europe Managing Director Julien-Alexandre Lamamy のコメント
「シスルナエコシステムの発展を可能にするためには、継続的な高速通信インフラが不可欠です。今回Plus Ultra社と協力し、相互の利益を達成するだけでなく、月産業の持続可能な未来の基盤を生み出すことができることを大変嬉しく思います。」
● Luxembourg Space Agency CEO Marc Serresのコメント
「ルクセンブルクの宇宙産業は、過去数年にわたり継続的なダイナミズムと発展を見せており、Plus Ultra社が大公国でもその存在感を示すようになったことに感激しています。月は、宇宙探査と宇宙資源利用への道のりの次のステップです。我々は、宇宙産業の将来にとってこの取り組みは重要な成功要因であると強く信じており、ルクセンブルクの経済と共に発展することを嬉しく思っています。」
■ Plus Ultra Space Outposts SL (https://www.plus-ultra.space/) について
スペイン、ドイツ、ルクセンブルクに拠点を置くヨーロッパの新興企業で、急成長する月経済の加速的発展と持続可能性に必要な、月周回衛星コンステレーションの配備と運用を目指しています。画期的な通信・航法インフラにより、月と月周回軌道上での高速ブロードバンド接続と正確なナビゲーションが可能になり、月面産業を支えることを目指しています。これは顧客にとって、商業的および科学的ROIの最大化、月及び月と地球の間の空間への最大限のアクセス、リスクの最小化、大幅なコスト削減を意味します。月周回衛星「Harmony」は、2024年[iii]に初期運用を開始する予定です。
■ 株式会社 ispace (https://ispace-inc.com/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、160名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営していました。2021年12月時点で総計約218億円超の資金を調達。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。ispaceによる最初のミッションは2022年[iv]に予定されています。ミッション1で使用するランダーはドイツにて最終組み立て中で、SpaceXのFalcon9でアメリカから打ち上げられる予定です。ispaceは、NASAのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)プログラムに選出されたドレイパー研究所のチームの一員でもあります。2020年12月に、ispaceとispace Europe S.A.はNASAから月面で採取した月のレゴリスの販売に関する商取引プログラムの契約を獲得しました。ispace Europe S.A.はESAのPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。
[i] 2022年1月時点の想定
[ii] 2022年1月時点の想定
[iii] 2022年1月時点の想定
[iv] 2022年1月時点の想定