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ispace、ミッション3のランダーデザインを発表、2024年に打ち上げ予定
2021年8月24日

ペイロード設計容量を拡大したシリーズ2ランダーを米国で設計・製造

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役: 袴田武史、以下 ispace) は同社が計画している3回目の月探査ミッション(ミッション3)で初使用する予定の新型機、シリーズ2ランダー(月着陸船)の概要を発表致しました。このシリーズ2のモデルは、着陸脚を広げた状態で高さ約3.5m、幅約4.2mで、ミッション1とミッション2に使用するシリーズ1のモデルよりも全体の大きさとペイロード設計容量が増加しています。

Image: ispace’s Series 2 lunar lander. Credit: ispace

2024年前半[i]の打ち上げを目指しているシリーズ2ランダーは、これまでispaceが開発したランダーの中でも最大サイズのランダーとなる予定で、設計・製造・打ち上げは米国で行う予定です。今年の6月には、ランダーの開発において重要なマイルストーンである基本設計審査(PDR: Preliminary Design Review)を完了しました。今後は、宇宙開発における数十年の経験と実績を持つドレイパー研究所およびジェネラル・アトミクス社との協力のもと開発を行う予定です。

このシリーズ2ランダーは、月面と月周回軌道のどちらにもペイロードを輸送することが可能な設計となっています。月面には最大500kg[ii]のペイロードを輸送可能な能力を備え、月周回軌道のみに輸送する場合には最大2,000kg[iii]のペイロードを輸送可能な能力を備えています。また複数のペイロードベイを備えたモジュール式のペイロードデザインを採用しているため、政府系、民間、科学分野などの、より幅広い顧客のペイロードに最適化できる柔軟性があります。さらにこのシリーズ2ランダーは、極地を含む月の表側または裏側への着陸を行い、太陽光が届かない月の夜でも稼働することのできる初の民間ランダーの一つとなることを目指しています。

また、高精度着陸を実現する誘導・航法・制御システム(Guidance Navigation and Control system、以下GN&Cシステム)を備え、月面上の岩石などの障害物を回避しながら狙った地点へ着陸することを想定しています。このGN&Cシステムは、アポロ計画の時から数十年もの知見を持ち、着陸技術(EDL:Entry, Descent and Landing)において世界的なリーダーとして知られるドレイパー研究所から技術協力を受けています。

このシリーズ2ランダーは、NASAの商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services、以下CLPS)をはじめとする、多様なミッションに対応することを目指しています。推進系には、5基のメインエンジンと12基の姿勢制御スラスターを使用し、各ミッションにおいて最適な姿勢を維持するように設計されています。また、エンジンが停止した場合でもペイロードを展開する能力を備えており、ミッションのリスクを軽減し、成功率を高める設計になっています。

米国のコロラドスプリングスで開催された第36回Space Symposiumでこのシリーズ2ランダーは初公開され、同シンポジウムにはispace Founder & CEOの袴田武史、ispace technologies, U.S. CEOのカイル・アシエルノ、そして開発を担当するLander Program Directorのカーステン・オニールが参加しました。カーステン・オニールは、SpaceX社でファルコンロケットの新型機導入をリードするなど宇宙開発において7年以上のキャリアを持ちます。

●  株式会社 ispace Founder & CEO 袴田武史のコメント

「近い将来に向けて、新型のシリーズ2ランダーはお客様へのサービスの質を高めるだけでなく、より月への高頻度なアクセスと機会を提供することを可能にします。この新たなランダーの開発を進めることは、地球と月がひとつのエコシステムとなるシスルナ(Cis-Lunar)経済圏の実現に向けた更なる一歩だと考えています。」

●  ispace technologies, U.S. CEO Kyle Aciernoのコメント

「デンバーは世界の中でもランダー開発における中心地になりつつあると信じていますし、この地を拠点にできることを誇りに思います。これまでのチームの努力と献身、そして協業企業や地域社会、米国国内、さらには世界中の友人からの強力な支援に感謝しています。今後数ヶ月間はドレイパー研究所やジェネラル・アトミクス社と連携し、次のNASA CLPSタスクオーダーに向けて準備を進めていきます。約30名のメンバーで構成されているチームを更に成長させ、米国におけるビジネスを広げていくことに精力的に活動していきます。」

●  ispace technologies, U.S. Lander Program Director Kursten O’Neillのコメント

「シリーズ2ランダーを通して私達が成し遂げることは、チームにとってこれ以上ない誇りです。PDRを無事に完了させることができ、このランダーがゲームチェンジャーとなると信じています。幅広い顧客の要望に対応できる能力を備えているため、ミッション3での初運用を経て、将来のミッションでも様々なサービスを提供できると期待しています。」

ispaceは、シリーズ2ランダーの発表に合わせて、ミッション3のペイロードユーザーガイドの概要を公開しました。今回公開したのは2021年8月時点の情報で、今後さらに開発の進捗に合わせて更新します。

ispaceは現在、ミッション1とミッション2の準備を重点的に進めています。ミッション1に関しては、2022年後半[iv]に予定されている打ち上げに向けて主要な試験を終え、現在、ドイツのアリアングループの施設でランダーのフライトモデルの最終組み立てを行っています。ミッション1のランダーには、UAEドバイの政府宇宙機関であるMBRSC、JAXAおよび様々な商用ペイロードを含むペイロードの搭載を予定しています。ミッション2のランダーは引き続きペイロードが搭載可能であり、現在様々な顧客と交渉を進めています。

●  株式会社 ispace (https://ispace-inc.com/)について

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業です。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、150名以上のスタッフが在籍しています。2010年に設立され、今まで総計約215.5億円超の資金を調達しています。当該資金は月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的としたランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)の開発に充てられています。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。ispaceによる最初のミッションは2022年[v]と2023年[vi]に予定されています。ミッション1では、日本特殊陶業株式会社、MBRSC (Mohammed Bin Rashid Space Centre; UAE ドバイ政府宇宙機関)、JAXAおよびCSA (Canadian Space Agency; カナダ宇宙庁)のLEAP (Lunar Exploration Acceleration Program) の一つに採択された3社にペイロードとデータのサービスを提供する予定です。ミッション1で使用するランダーはドイツのアリアングループの施設で最終組み立てを行い、SpaceXのFalcon9でアメリカから打ち上げられる予定です。ispaceは、NASAのCLPSに選出されたドレイパー研究所のチームの一員でもあります。ispaceとispace Europe S.A.はNASAから月面で採取した月のレゴリスの販売に関する商取引プログラムの契約を獲得しました。ispace Europe S.A.はESA (European Space Agency; 欧州宇宙機関) のPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。

●  ispace technologies, U.S. (https://ispace-inc.com/us/)について

コロラド州デンバーに位置するispaceの子会社です。2020年11月に開設されたこのオフィスには、約30名のスタッフが在籍しています。シリーズ2ランダー開発の中心地であると同時に、北米における事業の拠点としての役割を担っています。ispaceは、米国航空宇宙局(NASA)への協力体制を築き、CLPSやその他の機会を通じた月探査を達成するために、米国での継続的な投資と着実な事業展開を計画しています。ispaceは現在、マサチューセッツ州を拠点とする非営利研究開発組織であるチャールズ・スターク・ドレイパー研究所(The Charles Stark Draper Laboratory, Inc.、以下ドレイパー研究所)とパートナー契約を結んでおり、「Team Draper」の一員としてCLPSプログラムに参加しています。Team Draperでは、主契約者であるドレイパー研究所がNASAの月へのペイロードを運ぶプロバイダーに選定された際には、ispaceはランダーの設計等の役割を担います。

[i] 2021年8月時点での計画

[ii] 実際のペイロード容量はミッション内容によって変わる予定です。

[iii] 実際のペイロード容量はミッション内容によって変わる予定です。

[iv] 2021年8月時点での計画

[v] 2021年8月時点での計画

[vi] 2021年8月時点での計画

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