2021年6月8日
国内大手銀行4行との融資契約の締結及び借入の実行
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、この度、株式会社三井住友銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社りそな銀行、株式会社日本政策金融公庫との間で、それぞれ融資契約を締結した上で、借入を実行し、2021年5月末日時点において総額19.5億円の資金調達を実施したことをお知らせいたします。株式会社日本政策金融公庫、第一勧業信用組合からの既存借入と合わせた同日時点の当社総借入額は21.8億円となります。
宇宙スタートアップ企業である当社は、日々、月面着陸に向けたランダーとローバーの研究開発に従事しておりますが、大規模な開発投資資金を適時に調達することは当社ミッションの実現における鍵です。当社はこれまでシードラウンド、シリーズA、シリーズBと続く資本性資金での調達により累計で約140.5億円を調達して参りましたが、今般、負債性資金での調達という新たな手段で総額19.5億円を調達できたことは、当社の足許の開発進捗や事業構築、また中期的な事業の将来性に対して一定の評価と信頼を頂けたことの現れと言えます。
本資金調達は、2022年[1]に実施予定であるMission1で使用するランダー(月着陸船)のフライトモデル(実機)の開発を完遂していく上でのバックアップ資金、及び2023年[2]に実施予定のMission2で使用するランダーの先行開発投資、更にはMission3以降のランダーのサイズアップを見据えた先行開発投資を着実に実行していく為に活用いたします。
米国のアポロ11号による月面着陸からおよそ半世紀が過ぎた中、2017年に米国で策定されたアルテミス計画[3]を端緒に、世界各国の宇宙資源開発が近年再燃してきています。日本を含む11か国間で、アルテミス計画を含む広範な宇宙空間の各国宇宙機関による民生宇宙探査・利用の諸原則について関係各国の共通認識を示すことを目的としたアルテミス合意が署名されています。こうした背景の中、2021年度の米国NASAの予算総額は約233億ドルが議会で承認され、2024年度迄には更に約26億ドル程度の増加が予想されています。
ispaceは、今回の資金調達をさらなる推進剤として、宇宙資源産業の創出と、民間企業の宇宙利用による産業化を加速させていきます。
■ 株式会社ispace Founder & CEO 袴田武史のコメント
「ispaceが掲げるMoon Valley 2040 vision[4]を実現していく為には、政府と民間企業が一体となり宇宙開発を推進していくがことが不可欠です。こういった背景からも、今回の国内大手商業銀行3行と政府系銀行からの資金調達は、当該コンセプトを正に象徴するものだと考えております。また、融資という形態で所謂スタートアップ企業に対して資金支援を頂けたことも、ispaceへの期待及び新たな産業を育てていくという日本の間接金融市場の強いコミットメントと受け止めております。こういった関係各所からの支援を糧に、ispaceは、これからも民間による宇宙産業の拡大をリードし、人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界を目指していきます。」
■株式会社ispace (https://ispace-inc.com/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、130名以上のスタッフが在籍。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。ispaceは、NASAのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)プログラムに選出されたドレイパー研究所のチームの一員であり、ESAのPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。
[1] 2021年6月時点
[2] 2021年6月時点
[3] 米国が提案している国際宇宙探査計画で、2020年代半ば(当初の目標では2024年)に有人月面着陸、2030年代の有人火星着陸を目指すもので、日本の計画への参画、協力も発表されている。
[4] 2040年に月面に1,000人が暮らし、年間10,000人が旅をする世界を目指すispaceの長期ビジョンを表したもの(https://www.youtube.com/watch?v=wwBZwxdMrDs)