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民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1月面着陸について(第二報)

2023年4月26日

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1のランダー(月着陸船)による、民間企業として世界初の月面着陸を本日予定しておりましたが、4月26日8時時点において、ランダーとの通信の回復が見込まれず、月面着陸を確認するSuccess9の完了が困難と判断いたしましたことをお知らせいたします。

現時点で得られているデータに基づくと、東京日本橋のミッションコントロールセンター(地上管制室)にて、着陸シーケンスの終盤、ランダーの姿勢が月面に対して垂直状態になったことを確認しておりますが、着陸予定時刻を過ぎても着陸を示すデータの確認にはいたりませんでした。その後ランダーの推進燃料の推定残量が無くなったこと、及び、急速な降下速度の上昇がデータ上確認されており、最終的にテレメトリの取得ができない状態となりました。これらの状況から、当社のランダーは最終的に月面へハードランディングした可能性が高いと考えております。なお、これらの状況が発生した要因については、現時点ではこれまでに取得されたテレメトリの詳細な解析を実施している状況であり、解析が完了次第ご報告いたします。

今回のミッション1において、月面着陸及び通信の確立というSuccess9については達成することができないと判断いたしました。一方で、設定した10段階のマイルストーンのうち、Success 8までのマイルストーンで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現するうえでの貴重なデータやノウハウなどを獲得することができました。これらは、今後の月面探査を進める上で大きな飛躍であり、日本のみならず、世界の民間企業による宇宙開発を進展させる布石になると強く信じております。

当社は、今回の結果を受けてもなお、不確定なリスクを恐れず、挑戦の歩みを決して止めることは致しません。2024年のミッション2、2025年のミッション3の技術成熟度を飛躍的に高めることを目指し、今回のサクセス8までの運用と着陸シーケンス中に取得されたとデータとノウハウを最大限活用していきます。

●  株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田 武史のコメント

「現時点では月面着陸完了の見込みがありませんが、着陸フェーズまで実行できたことで多くのデータと経験を獲得でき、このミッションの意義を十分に達成したと考えております。重要なのは、この知見と学びをミッション2以降にしっかりとフィードバックし、この経験を活かすことです。そのために私たちはすでにミッション2とミッション3を同時並行で開発を進め、継続性を維持できる経営基盤を用意しています。創業期から現在に至るまでこのミッションに貢献してくれた全ての従業員、それを支え続けてくれたご家族の皆様、そしてispaceのビジョンを信じ続けてくれた株主、HAKUTO-Rパートナー、お客様、サプライヤーなど多くの皆様のご支援に、改めて心より感謝申し上げます。私たちは歩み続けます。」

●  宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長 山川 宏様からのコメント:

「本日、株式会社ispaceは月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1において、民間企業初となる月面着陸に挑戦されましたが、残念ながら今回はその実現が叶わなかったとの一報をいただきました。宇宙を目指す同じ日本の仲間として、ispace社の挑戦を誇りに思うとともに、ご関係の皆様のこれまでのご努力に心より敬意を表します。ispace社におかれましては、この度のミッションで得られたデータなどを分析し、これを礎に次のミッションへと繋いでいかれるものと信じております。JAXAといたしましても、引き続き、ispace社をはじめ宇宙に挑戦する産業界・団体の皆様や国際パートナーとともに着実に歩みを進め、宇宙探査活動はもとより、人類社会の持続的な発展に寄与していく所存です。」

●  The European Space Agency (ESA) Director General Josef Aschbacher様からのコメント:

「ispaceのミッション1は、ESAとispaceの協力関係が成功していることを物語るものです。この様な新しい宇宙民間企業と宇宙機関によるコラボレーションのスキームは、月面探査やその他の領域の未来を拓く、絶好の機会です。新しい宇宙へのアプローチを検討することも、ESAによるアジェンダ2025の中心的な要素です。HAKUTO-Rミッション1は、今後の多くの魅力的なプロジェクトや活動の始まりに過ぎないと確信しています。」

●  ドレイパー研究所 からのコメント:

「ispaceによる史上初の商業ミッションは、数々の重要な初の成功を収めましたが、最終的に月面に安全に着陸するには至りませんでした。ミッション1では異常が確認され、最終的に着陸には至らなかったものの、シスルナ空間への到達と月周回に成功したことで、国際的な宇宙開発にとって重要な一歩を踏み出したと言えるでしょう。ドレイパーは、ミッション1でispaceと協力し、ミッション2・3でも協力する予定です。現在も将来も、ispaceとの継続的なパートナーシップを楽しみにしています。」

●  ArianeGroup CEO Marin Sion様からのコメント:

「ispaceは、月周回軌道に乗り、初めてのミッションで着陸を試みるという、とてつもない偉業をすでに成し遂げました。ispaceが実行しようとしていることは非常に複雑で最先端の技術が求められるため、一度の挑戦で成功が約束される訳ではありません。ispaceが得た経験と独自のノウハウこそが、次のミッションを成功に導くのです。」

●  ミッション1マイルストーン詳細

■ 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/)について

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在200名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営していました。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。

SpaceXのFalcon 9を使用し、2022年12月11日にミッション1のランダーの打ち上げを完了し、2024年[i]にミッション2の打ち上げを行う予定です。ミッション1の目的は、ランダーの設計及び技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証及び強化です。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされます。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画です。

ispace technologies U.S., inc. は、2025年[ii]に月の裏側に着陸予定のNASAのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)プログラムに選出されたドレイパー研究所のチームの一員です。ispaceとispace EUROPE S.A. (ispace Europe) は2020年12月に、NASAから月面で採取した月のレゴリスの販売に関する商取引プログラムの契約を獲得しました。ispace EuropeはESAのPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。

■ HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/jpn/m1)について

HAKUTO-Rは、ispaceが行う民間月面探査プログラムです。独自のランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)を開発して、月面着陸と月面探査の2回のミッションを行う予定です。SpaceXのFalcon 9を使用し、2022年にミッション1(月面着陸ミッション)のランダーの打ち上げを完了し、2024年[iii]にミッション2(月面探査ミッション)の打ち上げを行う予定です。

HAKUTO-Rのコーポレートパートナーには、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社、シチズン時計株式会社、スズキ株式会社、住友商事株式会社、高砂熱学工業株式会社、株式会社三井住友銀行、SMBC日興証券株式会社、Sky株式会社が参加しています。

 

[i]    2023年4月時点の想定

[ii]   2023年4月時点の想定

[iii]   2023年4月時点の想定

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