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ispaceと英国国立レスター大学、月面ラマン分光計ミッションに向けたペイロードサービス契約(PSA)を締結

2026年5月13日

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)と英国国立レスター大学(以下レスター大学)は、ispaceが将来実施する月ミッションにおいて、ラマン分光計をペイロードとして搭載し、月面に輸送するためのペイロードサービス契約を締結しましたので、お知らせいたします。

本ペイロードは、ExoMarsミッション*¹に向けて開発されたレーザー式分光計を応用した、ラマン分析分光装置です。今後レスター大学が中心となり、スペイン国立航空宇宙技術研究所(Instituto Nacional de Tecnica Aerospacial:INTA)(スペイン)、アバディーン大学(スコットランド)、RAL Space(イギリス)、およびバリャドリッド大学(スペイン)が連携して開発を行います。
*¹ エクソマーズ:欧州宇宙機関(ESA)が主導する火星生命探査ミッション

本装置は、月面の分子組成を分析し、将来的に月面の有人探査を支える可能性のある資源を特定することを目的としています。また、宇宙資源利用を見据えた月面探査に向けた、小型のランダーやローバーへの搭載を想定して設計されています。

ラマン分光計ミッションは、英国宇宙庁(UK Space Agency:UKSA)のScience and Exploration Bilateral Fund(二国間宇宙科学・探査ミッション資金プログラム)の下で進められ、月面での分析(in-situ lunar analysis)に向けた科学観測機器開発の発展における、重要な一歩となります。

本契約に基づき、ispaceは新ランダー「ULTRA」を用いてペイロード輸送サービスを提供します。ULTRAはこれまで2回実施した月ミッションで使用したRESILIENCEランダーの設計を基盤とし、日米でそれぞれ開発していたシリーズ3ランダーとAPEX 1.0ランダーを統合して生まれた、高品質な機体となります。なお、具体的な搭載ミッションについては今後詳細が決まり次第発表いたします。

月面で高精度な表面分析を実現するためには、ラマン分光計を月の砂(レゴリス)に極めて接近させた、または接触した状態で運用する必要があります。この要件を満たすため、ispaceとレスター大学は共同で、本装置を月面の所定位置に精密に配置可能とするための、展開機構の開発を進めており、ランダーおよびローバー双方での運用を目指しています。

本契約に向け、ispaceとレスター大学は2022年の支援表明(Letter of Support)の締結を皮切りに、2024年にペイロードサービス中間契約(iPSA)を締結し、このたび正式にペイロードサービス契約の締結に至りました。本ミッションは、月面物質の特性評価および将来的な宇宙資源利用の礎となるものであり、ispaceは持続可能な月面探査インフラの構築に貢献してまいります。

 

  • 株式会社ispace 代表取締役CEO &Founder 袴田武史のコメント

「本ペイロードサービス契約を通して、ispaceはレスター大学との協力関係をさらに発展できることを大変嬉しく思います。レスター大学が有するラマン分光技術の知見と、ispaceの月面輸送および月面モビリティ技術を組み合わせることで、月資源の更なる理解と活用を目的とした将来のミッション実現に向けた基盤つくりを目指していきたいです。」

 

  • 英国 宇宙担当大臣 Liz Lloyd氏のコメント

「ispaceとレスター大学による本合意は、世界トップクラスの学術的専門知識と商業的な挑戦が結びついた時、英国の宇宙科学が何を実現できるのかを示す素晴らしい例であり、日本との協力関係がさらに深まることを大変嬉しく思います。
月面の組成を分析し、高価値鉱物や揮発性物質、水氷といった資源を特定することで、このミッションは持続可能な月探査の基盤を築き、新たな経済圏を切り拓くとともに、この新興市場における英国の役割を強化していくものです。」

 

  • レスター大学 プロジェクトリード Hannah Lerman氏のコメント

「今回の合意により、ispaceとの協力関係がさらに前進することを大変嬉しく思います。ispaceは、新しくダイナミックなアプローチで宇宙ミッションの開発を推進しており、そのビジョンの一翼を担えることを光栄に思います。
これは、宇宙探査における新たなモデルとなり、レスター大学で開発された技術と能力を実証するための幅広い可能性を切り拓きます。有人探査ミッションの打ち上げが目前に迫る中、今回の合意は将来的な月への再訪に向けた重要な準備の一歩となります。」

 

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約350名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスおよびデータサービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、新たに月周回の自社衛星を活用した、通信・測位を中心とするルナ・コネクトサービスの提供も目指す。2023年には民間企業として世界で初めて月面着陸に挑戦するミッション1を実施。2025年にはミッション2を実施し、月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することが出来た。最速2027年にはミッション2.5として月周回衛星1基を月周回軌道へ投入することを予定。2028年iには、経産省のSBIR補助金を活用し、日本拠点が主導で開発を進めるランダーモデル「ULTRA(ウルトラ)」による新ミッション3(旧ミッション4)の打ち上げを予定しており、続く2029年iiには南極近傍への高精度着陸を目指す新ミッション4(旧ミッション6)の打ち上げを予定している。さらに、米国拠点が主導する新ミッション5(旧ミッション3)(正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)の打ち上げは2030年iiiを予定しており、NASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。

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I     当該打上げ時期については2026年5月時点の予定であり、今後変更する可能性があります。なお、当社が補助対象事業として採択されたSBIR(Small Business Innovation Research)制度の公募テーマ「月面ランダーの開発・運用実証」の事業実施期間が原則として2027年度とされており、SBIR制度に基づく補助金の対象となるミッション3(旧ミッション4)は、当初2027年中の打上げとして経済産業省及びSBIR事務局と合意しておりましたが、2026年5月時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については今後、関係省庁及びSBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省により正式に計画変更が認可されることとなります。

ii  2026年5月時点

iii 本米国ミッションは当社がTeam Draperの一員としてNASAのCLPSタスクオーダーCP-12に採択されているミッションであり、新スケジュールの下でのCP-12実行に関してはNASAからの正式な承認待ちとなります

 

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