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ispace、ミッション2・ミッション3の進捗を報告

2023年2月28日

ミッション1の中間成果を活かし、後続するミッション2・ミッション3の本格的な開発と、顧客の新規獲得を推進

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1の運用が後半段階を迎えるにあたり、ミッション1の中間成果報告及び後続のミッション2、3に関する進捗を発表したことをお知らせいたします。ミッション1で得られたデータやノウハウなどの多くの貴重な成果は、直ちに後続するミッション2、アルテミス計画に貢献するミッション3へとフィードバックされ、技術と事業モデルの信頼度及び成熟度を商業化に足る水準にまで高めることを計画しています。既に、2024年に打ち上げ予定のミッション2及び、2025年に打ち上げ予定のミッション3の開発、並びにペイロード顧客との契約化が進捗中です。中間報告の詳細については「ispace、ミッション1の中間成果報告を発表」プレスリリースをご覧ください。(なお、本リリースにおける将来についての記載は現時点での計画・予測に過ぎず、今後の詳細検討等により予告なく変更される可能性があります。)

■  ミッション2のランダー開発状況の進捗

民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション2の目的は、ミッション1で得た成果を踏まえた、ランダーの設計及び技術と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの、更なる検証及び強化です。さらにミッション2では、ispaceが中長期的に目指すシスルナ(cislunar: 地球と月の間)経済圏の構築を推進する上で重要施策となる、資源探査の初期的な取り組みが実施される計画です。

ミッション2では、ミッション1でも運用中のシリーズ1ランダーと同じモデルが使用されます。ランダーの開発は、2023年2月に熱構造モデル(Structural Thermal Model)の組立を株式会社JALエンジニアリングのエンジン整備センター(成田)で行っており、組立完了後、環境試験を実施予定です。その後、4月頃を目途にフライトモデルの一部組み立てをドイツで開始する予定で、その後日本での最終組み立てを予定しています。

ミッション2で使用するランダーの熱構造モデルを成田国際空港近くの日本航空株式会社の施設で組み立てている様子

ミッション2のランダーは、複数の顧客のペイロードに加え、ispaceが開発するマイクロローバー(小型月面探査車)を月に輸送し、ランダーとマイクロローバーの双方で月面のデータを収集し、ispaceのデータサービスの開発に活用することが計画されています。このサービスでは、独自ミッションを通じて取得されるデータと政府系宇宙機関から公開されているデータを統合して、将来的にデータ・プラットフォームの基礎を構築するべく、開発を行っていきます。

また、ミッション2では、マイクロローバーを活用し、ispaceの本格的な月面資源探査を開始することを計画しています。マイクロローバーには月のレゴリスを採取する装置が搭載される計画で、ミッション1に引き続き、採取した月のレゴリスをNASAへ譲渡する、NASAとの月資源商取引プログラムを実施する予定です。2020年12月にispace EUはNASAとこの取り組みについて契約を締結しています。

■  ミッション2のペイロードについて

ミッション2では下記の3社の顧客のペイロードを月に輸送する予定です。ispaceが開発するマイクロローバーによる月面探査以外に、多様な顧客による月面上での実証実験が行われる予定であり、共に、ispaceが中長期的に目指すシスルナ経済圏の構築を推進して参ります。

●  高砂熱学工業株式会社

空調設備の設計・施工で国内大手の高砂熱学工業株式会社は、開発を進める月面用水電解装置を月に輸送し、世界初となる月面環境での水素と酸素の生成実験を行う予定です。高砂熱学工業との間では、2019年から民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のコーポレートパートナー契約も締結しています。

●  株式会社ユーグレナ

2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養技術の確立に成功した株式会社ユーグレナは、世界初となる月面環境での食料生産実験を目指し、観測機能を全て搭載した自己完結型のモジュールを月に輸送、モジュール内で微細藻類を培養し、将来的な宇宙での食料生産に向けた実験を行う予定です。

●  National Central University, Taiwan

台湾にある国立中央大学宇宙科学工学科は、放射線量と放射線によるビットエラーを自律的に測定する深宇宙放射線プローブを開発しています。この実験装置はペイロードとしてランダーのトップパネルに搭載予定で、地上管制室にデータを送信することができ、将来的に宇宙環境と電子機器や生物への影響に関する科学的研究を行う予定です。

■  ミッション3のランダー開発状況の進捗

現在、ispaceの子会社であるispace technologies U.S., inc.(以下、ispace U.S.)はシリーズ2ランダーの開発および検証を行っています。シリーズ2ランダーは月の裏側の着陸地点との通信を確立するため月周回軌道に投入される2機の中継衛星も展開予定で、月周回軌道で数年運用される計画です。また、シリーズ2ランダーの推進系システムの試験も開始しており、詳細については改めて公開を予定しております。シリーズ2ランダーは、ispaceのミッション1と2で使用予定のシリーズ1ランダーの開発経験を活かしつつ、ペイロード容量を増加し、月面と月周回軌道のどちらにもペイロードを輸送することが可能な設計となっています。

■  ミッション3のペイロードについて

ispace U.S.が一員として参加するTeam Draperは、2022年7月に、NASAの商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services, 以下 CLPS)契約を7,300万ドルで獲得しました。ispaceは現在、CLPS契約を通じて月へ輸送するNASAペイロードに加えて、国内外の民間顧客との間でペイロードサービス及びデータサービス契約の締結に向けた交渉を継続して行っております。

例えば、米国コネチカット州ウェストポートに本社を置く非営利交易法人AstronetX社とispaceは、2025年にAstronetX社の月面カメラ(L-CAM)を輸送するためのペイロードサービス契約を現在交渉中です。L-CAMは広視野のサーベイカメラで、月の希薄大気と恒星の計測を可能にします。L-CAMが収集するデータは、観測プラットフォームとしての月の独自性について貴重な洞察をもたらし、天文学と太陽系科学の研究を進め、月環境を計測し、シスルナ空間でのミッションの安全性を確保することに役立つと考えられています。

また、現在以下3社の企業との間では、ミッション3に関するペイロードサービス中間契約(注)を締結しています。各社とは今後、最終的なペイロードサービス契約の締結に向けた協議を継続して参ります。

●  株式会社アークエッジ・スペース

東京大学で培った超小型人工衛星の開発技術や利活用技術を元に低軌道衛星から超小型衛星を用いた深宇宙探査まで幅広いミッションを推進するアークエッジ・スペースは、2023年2月、月周回軌道に15kgのペイロードを届けるためのペイロードサービス中間契約(注)をispaceと締結しました。

●  Aviv Labs, LLC

シリコンバレーに拠点を置くイスラエル系アメリカの組織であるAviv Labs, LLCとispace U.S.は、2022年12月、月面で初の植物栽培を試みるために小型温室実験装置を届けるペイロードサービス中間契約(注)を締結しました。

●  CesiumAstro, Inc.

米国テキサス州オースティンを拠点とする宇宙・航空機用アクティブフェーズドアレイ通信技術で業界をリードするCesiumAstro, Inc.とispace U.S.は、フェーズドアレイアンテナとソフトウェア化を進めた通信技術のペイロードを月面と月周回軌道に届けるためのペイロードサービス中間契約(注)を締結しました。

■  10段階のミッション1マイルストーンについて

ミッション1では、打ち上げから着陸までの間に10段階のマイルストーンを設定しており、それぞれに設けたサクセスクライテリアを達成することを目指します。ミッションの途中で何らかの課題が発生した場合にも、その時点までに得たデータやノウハウなどの成果を正確に把握した上で、2025年までに後続するミッション2、アルテミス計画に貢献するミッション3へとフィードバックし、技術と事業モデルの信頼度及び成熟度を商業化に足る水準にまで高めることを計画しています。各マイルストーン達成の進捗状況等は適時に公開を予定しております。

■  ミッション1マイルストーン詳細

 

■ 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在200名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営していました。2022年7月時点で総計約268億円超の資金を調達。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。
SpaceXのFalcon 9を使用し、それぞれ2022年にミッション1、2024年(ii)にミッション2の打ち上げを行う予定です。ミッション1のランダーは、2022年12月11日に打ち上げられました。ミッション1の目的は、ランダーの設計及び技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証及び強化です。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされます。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画です。
ispace technologies U.S., inc. は、2025年(iii)に月の裏側に着陸予定のNASAのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)プログラムに選出されたドレイパー研究所のチームの一員です。ispaceとispace EUROPE S.A. (ispace Europe) は2020年12月に、NASAから月面で採取した月のレゴリスの販売に関する商取引プログラムの契約を獲得しました。ispace EuropeはESAのPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。

■ HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/jpn/m1)について
HAKUTO-Rは、ispaceが行う民間月面探査プログラムです。独自のランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)を開発して、月面着陸と月面探査の2回のミッションを行う予定です。SpaceXのFalcon 9を使用し、それぞれ2022年にミッション1(月面着陸ミッション)、そして2024年 (iv)にミッション2(月面探査ミッション)の打ち上げを行う予定です。ミッション1のランダーは、2022年12月11日に打ち上げられました。
HAKUTO-Rのコーポレートパートナーには、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社、シチズン時計株式会社、スズキ株式会社、住友商事株式会社、高砂熱学工業株式会社、株式会社三井住友銀行、SMBC日興証券株式会社、Sky株式会社が参加しています。

 

注:  ペイロードサービス中間契約は法的拘束力を有しないものであり、これらのペイロードサービス中間契約に基づき、法的拘束力のある契約を締結できる保証はありません。また、仮に法的拘束力のある契約が締結されたとしても、当該契約に基づく重量は、上記に記載された重量と異なる可能性があります。

(i) 2023年2月時点の想定。
(ii) 2023年2月時点の想定。
(iii) 2023年2月時点の想定。
(iv) 202年2月時点の想定。

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