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ispace、高砂熱学工業と月面におけるサーマルマイニング技術実証に向けた 計画検討に関する覚書を締結

2025年5月9日

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)は高砂熱学工業株式会社(本社:東京都新宿区、社長:小島和人、以下「高砂熱学工業」)と、将来の月面環境における水採取技術(以下「サーマルマイニング技術」)の月面実証に向けた計画検討に関する覚書を締結したことを発表しましたので、お知らせします。

本覚書は、最終的には高砂熱学工業が研究開発を進めるサーマルマイニング技術を、ispaceが開発する月面探査車に搭載し、将来的な月面での水資源の採掘を技術的に実証することを目標とした共同技術開発に向けた検討を行うものです。

高砂熱学工業は2019年12月、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」にコーポレートパートナーとして参画いただき、熱利用技術と水電解技術においてispaceと協業し、世界初の月面環境における水素・酸素生成の実証実験の検討を行ってきました。そして、2025年1月15日に打ち上げを完了し、今後2025年6月6日に月面着陸を予定しているMission 2 “SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON”(以下ミッション2)のRESILIENCEランダーには、同社が開発した月面用水電解装置が搭載され、現在月面に輸送中です。月面着陸後には水の電気分解を実施予定で、世界初の月面環境における水素ガスと酸素ガスの生成に挑戦します。

ispaceは、日・米・欧の3法人でそれぞれの地域の文化や多様性を活かしながら、1つの統合的なグローバル企業として宇宙開発を進めてまいりました。2025 年 1 月15日に日本法人が主導するミッション2の打ち上げを完了し、最短で2025年6月6日に月面着陸へ再挑戦の予定です。続く2026年には米国法人が主導するミッション3を実行していく計画で、2027年には、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4(旧ミッション6)を予定しています。世界中の政府、企業、教育機関からの高まる需要に応えるため、ispaceはミッション3およびそれ以降のミッションのペイロードサービス契約とデータサービスを提供してまいります。

 

  • 株式会社ispace 代表取締役CEO Founder 袴田武史のコメント

「月に存在すると言われている“水”は貴重な資源です。ispaceが目指すシスルナ経済圏の構築において、高砂熱学工業の月面での水の採掘技術を実証することは、今後の宇宙資源活用に大きく貢献することとなります。まずは、ミッション2において水の電気分解成功を一緒に目指すとともに、次のステップとなる水資源採掘の実証に向けて、引き続き高砂熱学との協力体制を整えて行きたいと思います。」

 

  • 高砂熱学工業株式会社 代表取締役社長 小島和人氏のコメント

「“環境クリエイター高砂熱学”は、ファーストペンギンとなって人類の未来を切り拓く挑戦に立ち向かっています。この度、ispace様と新たな挑戦に向けたパートナーシップを結ぶことができて大変嬉しい気持ちです。

当社は、地球と月が一体となった科学・産業活動の基盤構築を目指して“月面環境で水素と酸素を生成する月面用水電解装置“と”月に存在する水資源を採取する技術(サーマルマイニング)“の技術開発に取組んできました。『世界初となる月面での水素・酸素生成ミッション』に続き、月面での水資源採掘に向けた技術実証を目指します。」

 

  • 高砂熱学工業株式会社 (https://www.tte-net.com)について

空調設備の設計・施工を中心に、人に優しい快適空間の創出、高度に管理された生産工程環境の構築、AIを活用した設備の最適な運転や省エネのコンサルティングなど、建物ライフサイクル全般にわたってのトータルなサービスを、日本全域・中国・東南アジア・インド・メキシコで展開。グループパーパス「環境革新で、地球の未来をきりひらく。」のもと、「環境クリエイターⓇ」として環境創造の事業領域を拡げ、脱炭素・サステナブル社会の実現に寄与する技術・サービスの創出に取り組んでいます。

 

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2は2025年1月15日に打上げを完了し、最短2025年6月6日に、月面着陸へ再挑戦の予定です。ミッション3は2026年[i]、ミッション4(旧ミッション6)は2027年に[ii]打ち上げを行う予定。

ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階の内Success8まで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされている。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。

[i]   2025年5月時点の想定

[ii]  2025年5月時点の想定

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