2022年11月17日
株式会社ispace(代表取締役:袴田 武史、以下ispace)は、MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険株式会社(社長:舩曵 真一郎、以下三井住友海上)と、ispaceのミッション1において、ロケット打ち上げから月面着陸までに発生するリスクを総合的に補償する、世界初の「月保険」の契約を締結したことをお知らせします。
ispaceは、2019年に三井住友海上が民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のコーポレートパートナー就任時に月保険開発の構想を発表してから今日に至るまで、三井住友海上と月保険組成に向け協業して参りました。2022年4月には月保険組成に関する覚書を締結し、2022年10月には月保険の共同開発を完了しておりますが、今般、三井住友海上との月保険契約を締結するに至りました。
ispaceのミッション1では、ロケット打ち上げからランダー(月着陸船)が月面に着陸し、通信の機能が正常に作動して地球とランダーとの間でデータ送受信が行われるまでに損害が発生した場合に保険金がispaceへ支払われます。ispaceが推進する月面輸送事業は、打ち上げ費用、ランダーの開発費用等、ミッションに必要とされるコストが比較的高額であり、将来的に持続安定的なミッションを継続して実現するためには、保険によるリスクへの手当が非常に重要となります。今般、世界初となる月保険の組成と契約締結を実現出来たことは、事業面・技術面の双方において、ispaceが三井住友海上及び宇宙保険ブローカーを通じて国際宇宙保険マーケットから一定の信頼性評価を獲得できたという点において大きな意義と言えます。
ispaceは、将来的に月保険で補償される範囲が拡大され、月着陸以降の月面探査活動に向け、補償対象が自社のランダーやローバー(月面探査車)だけでなく、顧客のペイロードまで含めた保険となることを企図しています。月保険で補償される範囲が拡大されれば、ペイロード顧客のリスク軽減につながり、ispaceのペイロード輸送サービスの利用の加速につながる可能性があると考えています。ispaceが目指す地球と月を一つとしたエコシステム構築には、今後、この様なより包括的な保険の仕組みの構築が必要と考えられます。ispaceは、産業構築におけるオーケストレーターとして、保険を初めとした事業開発を今後も推進して参ります。
■ 株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田 武史のコメント
世界初の月保険を三井住友海上様と共同開発させていただき、本保険の第一号案件としてミッション1が活用されることを光栄に思います。ispaceが継続してミッションを行うことで、より月保険の仕組みの精度も向上し、月面開発に参加する様々な事業者にとってより良いサービスが提供されていくと考えています。HAKUTO-Rコーポレートパートナー企業様との協業によって、このように月面産業の発展を支えることができることを嬉しく思います。
■ 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在200名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営していました。2022年7月時点で総計約268億円超の資金を調達。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。ispace technologies U.S., inc. は、2025年(i)に月の裏側に着陸予定のNASAのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)プログラムに選出されたドレイパー研究所のチームの一員です。ispaceとispace EUROPE S.A. (ispace Europe) は2020年12月に、NASAから月面で採取した月のレゴリスの販売に関する商取引プログラムの契約を獲得しました。ispace EuropeはESAのPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。
■ HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/hakuto-r/)について
HAKUTO-Rは、ispaceが行う民間月面探査プログラムです。独自のランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)を開発して、月面着陸と月面探査の2回のミッションを行う予定です。SpaceXのFalcon 9を使用し、それぞれ2022年(ii)に月面着陸ミッション、そして2024年(iii)に月面探査ミッションの打ち上げを行う予定です。このプログラムは、月の情報取得と地球―月輸送サービス構築に向けた技術検証を行います。HAKUTO-Rのコーポレートパートナーには、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社、シチズン時計株式会社、スズキ株式会社、住友商事株式会社、高砂熱学工業株式会社、株式会社三井住友銀行、SMBC日興証券株式会社、Sky株式会社が参加しています。また、HAKUTO-Rメディアパートナーには、株式会社TBSホールディングス、株式会社朝日新聞社、株式会社小学館が参加しています。
(i) 2022年11月時点の想定
(ii) 2022年11月時点の想定
(iii) 2022年11月時点の想定