News

ispace、栗田工業と水資源開発に係る戦略的パートナーシップに合意

2025年12月4日

月面における水資源確保・供給インフラ構築を目指す

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)は、栗田工業株式会社(本社:東京都中野区、社長:江尻裕彦、以下栗田工業)と、将来的な月面での水資源の確保および供給インフラ構築に向けた事業創出を目指し、戦略的パートナーシップに関する基本合意書(MOU)を締結しましたので、お知らせいたします。

本MOUの締結は、2025年3月10日に発表した、栗田工業による将来の月面水処理実証試験装置の月面実証を目指したispaceとのペイロード輸送に関する覚書の締結*¹、また10月6日に発表した栗田工業を割当先とする第三者割当増資*²に続く、両社の戦略的協業のさらなる具体化を意味します。

関連プレスリリース:
ispace、月面水処理実証試験装置の月面実証を目指し、栗田工業とペイロード輸送に関する覚書を締結
ispace、栗田工業を割当先とする、第三者割当増資を発表 – 月面における水の革新的なソリューションの創出を目指す

本パートナーシップは、月面における水資源利用技術の実証、事業性評価、将来の商業ミッションへの搭載計画など、地球外水リソース産業の創成に向けた多面的な協業を推進するものです。栗田工業が長年培ってきた水処理に係る技術や知見と、ispaceが有する民間月面探査・輸送サービスの実績を融合し、宇宙における持続可能な水資源インフラの確立を目指します。主な協業内容は以下のとおりです。

1.月面水資源の確保・供給インフラ構築に向けたビジネスモデル・事業戦略の策定

ispaceと栗田工業は、将来的に月面で想定される水資源の確保・供給インフラの構築に向け、事業モデル及び戦略の策定を共同で進めます。

また、ispaceは、栗田工業による必要な装置の特定、実証方針の策定、および関連する企業・研究機関との連携構築を支援します。

2.月面水利用技術に必要なペイロード開発と技術実証の評価

栗田工業は、将来の月面での水資源の利用のための技術テーマに沿ったペイロード開発を推進します。

ispaceは、これら技術実証の実現性と事業性の評価、および栗田工業の当該開発に協力します。

3.ispaceランダーを用いた月面実証の共同計画

両社は、ispaceが将来的に予定している月ミッションにおいて、栗田工業のペイロードによる月面技術実証を共同で計画します。

ispaceは、ペイロード輸送サービス及び月面データ取得サービスを通じて、栗田工業の実証に協力する予定です。

 本パートナーシップを通じて、両社は月面における持続可能な水資源インフラの確立に向けた技術実証と事業構築を段階的に進め、新たな価値創造に共に挑戦してまいります。

● 株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田武史のコメント

「月面における水資源の探査と利用は、ispaceが目指すシスルナ経済圏発展を支える不可欠な要素です。この度、世界有数の水処理技術を持つ栗田工業様と戦略的パートナーとしてタッグを組み、月面での水資源インフラ構築に向け歩みを開始できることを大変嬉しく思います。ispaceが培ってきた月面輸送・運用の技術と、栗田工業様が長年にわたり磨いてこられた水処理に係る技術や知見が融合することで、日本から新たな宇宙産業の可能性を切り拓いていけると確信しています。」

● 栗田工業株式会社 執行役員イノベーション本部長 水野誠氏のコメント

「このたびのispace様との戦略的パートナーシップの合意により、月面という未知の環境における水資源の確保と供給インフラの構築に向けた我々の挑戦がさらに具体化することを大変うれしく思います。当社は、月面の低重力や資源の制約といった課題を踏まえ、これまでに培ってきた水処理の技術や知見に加え、材料技術や遠隔運用など多様な要素を結集し、月面水処理実証試験装置の開発と、将来の月面実証に向けた準備を進めています。ispace様との多面的な協業により、月面における水資源の確保と利活用の実現を通じた、月面経済圏の構築・発展への貢献を引き続き目指してまいります。」

● 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/jpn/)について

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2も2025年1月15日に打上げを完了した。これらはR&D(研究開発)の位置づけで、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化を目的としたミッションであり、結果、ispaceは月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することが出来た。2027年iには、米国法人が主導するミッション3(正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)の打ち上げを予定しており、ミッション1、2で得られたデータやノウハウをフィードバックした、より精度の高い月面輸送サービスの提供によって、NASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。さらに、2028年iiには、経産省SBIR補助金を活用し、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4(旧ミッション6)の打ち上げを予定している。

 

i  2025年12月時点の想定

当該打上げ時期については2025年12月時点の予定であり、今後変更する可能性があります。なお、当社が補助対象事業として採択されたSBIR(Small Business Innovation Research)制度の公募テーマ「月面ランダーの開発・運用実証」の事業実施期間が原則として2027年度とされており、SBIR制度に基づく補助金の対象となるミッション4は、当初2027年中の打上げとして経済産業省及びSBIR事務局と合意しておりましたが、2025年12月時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については今後、関係省庁及びSBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省により正式に計画変更が認可されることとなります。

 

PDF
一覧に戻る