2025年10月6日
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)は、高砂熱学工業株式会社(所在地:東京都新宿区、社長:小島和人、以下高砂熱学工業)を割当先とする第三者割当による新株式発行(第三者割当増資)を行うことを、本日10月6日付の取締役会決議において決定しましたので、お知らせいたします。なお、高砂熱学工業からの出資金額は約30億円となります。
新株式発行等の詳細は、同日IRサイトにて適時開示をしております「公募及び第三者割当による新株式発行並びにオーバーアロットメントによる株式売出しに関するお知らせ」をご確認ください。
IRサイト:https://ir.ispace-inc.com/jpn/
高砂熱学工業は2019年12月、ispaceの民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」にコーポレートパートナーとして参画いただき、熱利用技術と水電解技術においてispaceと協業し、世界初の月面環境における水素・酸素生成の検討を行いました。実際に2025年にMission 2 “SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON”(以下ミッション2)では、月面環境での水素・酸素生成の実証実験を目指して、月面用水電解装置が高砂熱学工業により開発され、RESILIENCEランダーに搭載されております。また、2025年5月には、高砂熱学工業が研究開発を進める将来的な月面での水資源の採掘を、ispaceのミッションを通じて実証することを目標とした覚書を締結しました。
本日、本第三者割当増資の決定に伴い、高砂熱学工業による月面での水資源の採掘・利用及び熱制御のための技術開発テーマにispaceが協力すると共に、ispaceの将来ミッションでのペイロード搭載と月面実証を共に検討するための覚書が、両社により改めて締結されました。
本第三者割当増資を含む新株式発行等を通じて、ispaceは2028年までに打上げを予定する2回のミッション(2027年[i]打上げ予定のミッション3及び2028[ii]年打上げ予定のミッション4)を確実に実行可能とする開発資金の確保を行うとともに、手元資金の充実及び財務基盤の安定化を図ります。機動的な経営判断を可能とすることで、これまでに当社が経験したミッション1及びミッション2の結果を踏まえた後続ミッションの改善を図り、より成功確度を高めるための技術と品質の継続的な向上と、市場ニーズの的確な取り込みを加速させることを目指します。
● 株式会社ispace代表取締役CEO 袴田武史のコメント
「高砂熱学との月面での水資源に関する協業は、ispaceが目指すシスルナ経済圏の実現に向けた重要な一歩であり、両社の技術的知見とビジョンが融合することで、宇宙産業の新たな可能性が広がるものと確信しております。
今回の資本参加と技術連携を通じて、月面社会における持続可能な資源採掘の実現に向けた取り組みを加速させ、全体に貢献できる価値創出を目指してまいります。
引き続き、高砂熱学との強固なパートナーシップのもと、挑戦と革新を続けてまいります。」
● 高砂熱学工業株式会社 代表取締役社長 小島和人氏のコメント
「このたび当社は、『月面エコシステムの構築に向けた技術実証への挑戦』に向け、株式会社ispace様が実施する第三者割当増資を引き受けさせて頂きました。
ispace様が挑戦される月経済圏の構築は、地球環境の枠を超えた新たな価値創造の可能性を秘めており、当社の「環境クリエイターⓇ」の理念とも深く共鳴いたします。
今後も、当社はispace様をはじめとした様々なパートナーとの協働を通して、技術力の向上と挑戦を志向する組織風土の醸成を図り、地球と宇宙の未来に貢献してまいります。」
● 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/jpn/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2も2025年1月15日に打上げを完了した。これらはR&D(研究開発)の位置づけで、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化を目的としたミッションであり、結果、ispaceは月周回までの確かな輸送能力や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能を実証することが出来た。2027年iには、米国法人が主導するミッション3(正式名称:Team Draper Commercial Mission 1)の打ち上げを予定しており、ミッション1、2で得られたデータやノウハウをフィードバックした、より精度の高い月面輸送サービスの提供によって、NASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。さらに、2028年iiには、経産省SBIR補助金を活用し、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4(旧ミッション6)の打ち上げを予定している。
ⅱ当該打上げ時期については2025年10月時点の予定であり、今後変更する可能性があります。なお、当社が補助対象事業として採択されたSBIR(Small Business Innovation Research)制度の公募テーマ「月面ランダーの開発・運用実証」の事業実施期間が原則として2027年度とされており、SBIR制度に基づく補助金の対象となるミッション4は、当初2027年中の打上げとして経済産業省及びSBIR事務局と合意しておりましたが、2025年10月時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については今後、関係省庁及びSBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省により正式に計画変更が認可されることとなります。